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不動産

第36回 斜面地は「 開発行為 」等が必要なので地価が安くても仕入れない事

売れる住宅を創る 100の視点

今回はフェーズ6「 土地の仕入れ 」の大切なポイント七項目の第三項目『 斜面地は「開発行為」等が必要なので地価が安くても仕入れない事。 』のお話を致します。

 
前回はフェーズ6「土地の仕入れ 」の第二項目『 「 ブランド沿線 」の「 ブランド駅 」に特化する方がリスクは少ない。 』の大切さを私の今までの経験を通して具体的に御説明致しました。前回では分譲マンションや建売戸建が売れる為には、立地の地位が良いブランド駅周辺等の場所を選んで事業展開を行えば、リスクが少ないので、なるべくその様な場所を選んで下さいと御説明致しました。
 
今回はフェーズ6「 土地の仕入れ 」の第三項目です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとっては用地の仕入れを誤れば会社の存続に影響を及ぼします。ですから、今回のタイトルは『 斜面地は「開発行為」等が必要なので地価が安くても仕入れない事。 』にしました。今回は特に私の今迄の設計業務に基づいた経験則ですので、 準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーはこれから用地仕入れをする場合には斜面地は絶対に避ける事です。理由を御説明致します。
 
私は1971年に大手設計事務所に入社し設計の「 イロハ 」を学び、1974年に「 東急不動産 」の「 設計監理部 」が独立致しました「 東急設計コンサルタント 」に入社致しました。「 東急設計コンサルタント 」ではマンションの設計・監理を学び数多くのマンションの設計・監理を致しました。
 
2000年に体調を崩し「 東急設計コンサルタント 」設計部長を辞し退職致しましたが、 「 東急設計コンサルタント 」在籍中に数多くのマンションの設計・監理の経験が現在では私の宝物です。そして、2002年に「 碓井建築オフィス 」を設立し、その後現在までに十数社の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンションや建売戸建団地の用地買収のコンサルティングも沢山行いました。
 
これらの経験を踏まえて、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーに今回は用地選定では絶対にリスクの高い「 斜面地 」の買収は避けるべき理由をお話致します。
 
「 斜面地 」でマンション事業や戸建建売事業等を行う場合は必ず「 都市計画法 」の「 開発行為 」の手続きと許可が必要になります。「 開発行為 」とは建築物の建築などを目的に、土地の区画を分割・統合しましたり、造成工事をしましたり、農地から宅地へ地目を変更する等「 土地の区画形質の変更 」をすることです。特に三大都市圏( 首都圏・中京圏・近畿圏 )の既成市街地や近郊整備地帯の市街化区域では原則500㎡以上で、その他の市街化区域では原則1000㎡以上の開発行為を行う場合は、都道府県知事の許可が必要になってきます。
 
「 斜面地 」では、大抵の場合に土地をなるべく平らにしてから、マンションの建設を行なったり、戸建の建設を行ないませんと事業ができませんので造成工事等が必要です。造成工事を行う事は「 土地の区画形質の変更 」に該当致しますので事前に「 開発行為 」の手続き、申請そして「 許可 」が必要です。更に「 許可 」を取得してからでないと、予定建築物の「 確認申請 」の申請提出が行なえないのです。
 
「 斜面地 」でのマンション建設や戸建の建設以前に上記の作業等の手続きが必要ですので用地買収後にかなりの時間と費用がかかります。「 開発行為 」の手続き、申請そして「 許可 」で大雑把に約半年( 6ヶ月 )以上はかかります。
 
このかなりの時間と費用は、事業の採算性を悪化させます。特に隣接地所有者の同意も必要な場合も有りますので、私の経験ではプロジェクトの工程期間が想定していた時よりも更に約1~2ヶ月強延びてしまいます。
 
造成工事費も大雑把ですが、坪単価3万円~7万円位必要です。ですので「 斜面地 」だから安価で買収できたと言っても結局は平らな土地より高額で買収した事になるのです。追い討ちをかける様に用地購入時に調達した銀行からの借り入れたお金の金利が増えて、事業計画を見直す場合も出てきます。
 
最後に「 斜面地 」で絶対に買収してはならない土地を御教え致します。それは「 斜面地 」の高い所で道路に接していて、低い所が道路に接していない土地です。理由は下水が流せないので、貯留層を作りポンプアップで高い所の道路下の公共下水道に流すか、低い所の隣地に御願いしお金を払って「 地役権 」を付けてもらい下水管を道路まで通すかどちらかになるからです。
 
「 斜面地 」はこの他にもまだまだ多くのハードルが潜んでいますので、要注意です。
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとっては「 斜面地 」はとてもリスクの高い土地ですので入手しない方が得策です。
 
ディベロッパーの用地仕入れ担当の方、 『 斜面地は「開発行為」等が必要なので地価が安くても仕入れない事。 』を守って下さい。若干、オーバーな表現ですが会社の生死に係わる事です。
 
次回、第37回はフェーズ6「 土地の仕入れ 」の大切なポイント七項目の第四項目『地盤地図を見て杭の長さが20メートル以上になる土地は工事費が割高になるので購入は控える事。 』をお話いたします。
 
最近、工事費が上昇しておりますので、次回も期待して戴ければ幸いです。
 
 
以上   
 
碓井民朗

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