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第27回(他業種に目を向ける)「開運一円カレー」
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昨年6月にオープンしたセルフ式のカレー店『開運1円カレー』が人気だ。
現在、新橋、新宿、川崎をはじめ4店舗展開している。
最大の魅力は、1グラム1円というカレーの量り売り制度だ。
セルフのカウンターには、カレーのルー、ライス、福神漬けはもちろん、
サラダ、コロッケ、ソーセージまで並んでいる。
好きなものを取ったら、備え付けのハカリに乗せて、1グラム1円に換算して清算する。
777とか、333といったぞろ目が出れば、タダになったり半額になったりする。
女性の多くは、ライス少なめ。
中には、ライスを全く取らずに、カレーのルーとサラダだけを取る人もいるという。
男性には、ライスの上にソーセージやコロッケを乗せ、
ルーの代わりにソースをたっぷりかけるといった人もいるそうだ。
同じ食材でも、お客は、様々な組み合わせを楽しんでいる。
『開運1円カレー』を経営しているのは、
カレーのチェーン店『バルチックカレー』の展開で有名な株式会社バルチック・システムだ。
同社は、現在、居酒屋の『甚八』、海鮮丼の『いくら屋』、焼きたてパンの『パンドーラ』をはじめ
12ブランド約200店の店舗展開をしている。
同社の吉野幸則社長は、バブル崩壊直後 から現在まで飲食経営に携わる中で、
もはや、新しいことは出尽くしたと感じてきたという。
そこで、既存の業態を、斜めから見たり、横から見たりすることによって、
新しい組み合わせを編み出し、お客に対して新鮮さをアピールしようと考えたという。
実際、『開運1円カレー』には、実に様々な飲食業界のアイデアが詰まっている。
まず、店舗は、居酒屋のランチタイムだけを借りている二毛作経営。
1グラム1円というアイデアは、一番売れるスーパーの惣菜が、
1グラム1円だったという調査結果をもとにしているという。
そして、そもそも『開運1円カレー』という新しい業態に取り組もうと思ったきっかけは讃岐うどんとの出会い。
讃岐うどんは、様々なトッピングが楽しめるし、並んでいるうちに、
どんどん追加トッピングがしたくなり、客単価はあがっていく。
これは、すばらしいサービスだと考えたそうだ。
平均単価は約700円。
どの店も売上は順調に伸びている。
最初は、直営で展開していたが、新橋では、家主の居酒屋がFCに加盟した。
今後は、居酒屋だけではなく、イタリア料理店など、様々な飲食店にも広げ、
夏までには20~30店舗に増やしていく予定だという。
また、その過程で、イタリア風カレーといった家主に合わせた新カレーも開発していきたいそうだ。
ところで、食材店では当たり前の量り売りを古着に導入して大成長を収めたパーグラム・マーケット、
均一ショップのアイデアと立ち飲みやを組み合わせたワンコイン・バー、
テーマ・パークのコンセプトを取り入れたテーマ・レストラン…。
『開運1円カレー』に限らず、他店や他業種のアイデアを組み合わせて成長をとげた店や企業は少なくない。
同業種はもちろん、他業種にも目を向ければ、
まだまだ、大成長の可能性を秘めた新しい組み合わせが、沢山、眠っているはずだ。
(カデナクリエイト/竹内三保子)
◆社長の繁盛トレンドデータ◆
『開運1円カレー』新橋店
東京都港区虎ノ門1-5-8 オフィス虎ノ門1ビル1F
TEL03-3593-9880
最寄駅 地下鉄銀座線虎ノ門駅1番出口 徒歩3分
http://www.baltic.co.jp/
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