◆ikraイクラ◆ 入りにくくすることでリピーターを増やす |
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「ikra」の店内。
テーブルをゆったりと配置し、ソファ席も用意することで、気兼ねなくくつろげる空間を作りだしている |
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多くの中小飲食店が、リピーターの獲得に力を入れ始めた。
料理の質を上げる、マニュアル接客をやめる、ポイントカードを発行する…。
さまざまな手だてを講じているようだ。
そんななか、東京・恵比寿のダイニング『ikra(イクラ)』は、
「入口に鍵をかける」ことで、多くのリピーターを掴んでいる。
店は、恵比寿駅近くのオートロック商業ビルの2階。
壁面のすりガラス越しに、客やテーブルがうっすらと見える。
しかし、1階の入口に鍵がかかっている上、看板もないので、本当に店なのか分からない。
知らない人は、引き返してしまうだろう。
しかし、実際は、入口のオートロックパネルで呼べば、すぐにドアを開けてもらえる。
店の存在を知る客は、友人や彼女を連れてくれば、得意な気分になれるわけだ。
このような演出が受け、今では数ヶ月先まで予約が入る状況になった。
このような仕組みだから、リピーターは多く、客の約8割を占めている。
この店を開いたのは、さまざまな飲食店を経営している(株)フォーム。
以前からビルの5階で店を営んでいた知人から、空きフロアがあることを聞き、2年前に出店した。
開業当初はスタッフの知人がパラパラ来る程度だったが、広告はあえて打たなかった。
オートロックパネルの前まで来て引き返す客を見ても、呼び止めるのをガマンしたという。
リピーターを獲得できたのは、新鮮な魚介類を使った料理や、
店内の落ち着いた雰囲気も、大きな要因だろう。
しかし、それだけなら、同様の店はゴマンとある。
入店を演出し、得意な気分になりたい客の心をくすぐったからこそ、
自慢の料理や雰囲気の良さを生かすことができたわけだ。
「商品・サービスに自信があるのに、リピーターがなかなか増えない…」。
そんな悩みの多くは"商品を売るまでの段階"を工夫することで解消できるのかもしれない。
これは、飲食店に限った話ではないだろう。
(カデナクリエイト/杉山直隆)
◆ 社長の繁盛トレンドデータ◆
『DINING ROOM ikra(イクラ)』
東京都渋谷区恵比寿南1-9-4 長谷川力ビル2F
TEL:03-5704-8852
最寄り駅「恵比寿」駅より徒歩5分
http://www.ikra.jp