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第4回 『債権の消滅時効期間がかわる!』

中小企業の新たな法律リスク

 建設会社を経営する田中社長が,先月判決のあった債権回収の訴訟のお礼と年始のあいさつに,賛多弁護士の事務所を訪れました。そこで,債権法の改正の話が出ました。

 

田中社長:先日は,勝訴判決,ありがとうござました。年内に回収できて,安堵しています。


賛多弁護士:早期に解決できてよかったです。そうそう,債権回収といえば,民法の平成29年(2017年)改正で債権の消滅時効が改正されたのをご存知ですか?


田中社長:債権法の大改正があるということは知っていますが,中身については正直よくわかっていません。


賛多弁護士:これまで,消滅時効は,一般債権の消滅時効は10年,商事消滅時効は5年,職業別短期消滅時効は1~3年と差異がありました。


田中社長:職業別短期消滅時効というのは何ですか?


賛多弁護士:例えば,工事の設計,施工,監理を業とする者の工事に関する債権は3年で時効消滅します。このように,職業によって短期の時効期間が定められているものがあるのです。


田中社長:複雑だったわけですね。


賛多弁護士:そうです。それが,この改正で,時効期間は,権利を行使できることを知った時から5年または権利を行使できるときから10年に統一されました。


田中社長:5年と10年の2つがあるのですか?


賛多弁護士: いずれか早い時期に時効によって消滅します。


田中社長:権利行使できるときから8年後に行使できることを知った時には,そこから5年になるのではなく,権利を行使できるときから10年,つまり権利を行使できることを知った時から2年ということになるわけですか。


賛多弁護士:そうです。まあ,ビジネスの場合,契約を締結する段階でその契約に基づいていつ権利を行使することができるのかを契約当事者は当然に知っていることになりますので,権利を行使できるときには,行使できることを知っているのが通常であると言え,消滅時効の期間は通常は5年ということになると思いますが。


田中社長:時効期間が変更されるということは,会社としては,その対応が必要ですね。


賛多弁護士:はい。債権管理規程や証票類の管理・保管期間等,債権管理についての見直しが必要になるのではないでしょうか。


田中社長:この消滅時効の改正法が施行されるのはいつですか。


賛多弁護士:2020年4月1日ですが,経過措置があります。時効期間については,施行日前に債権が生じた場合については従前の例によるとされており,施行日以後に発生した債権について改正法が適用になります。経過措置との関係で,改正法の適用を受ける債権か否かを区別して,管理することが必要です。


田中社長:そのほかの債権法の改正についても,今度,じっくり話を聞かせてください。契約書や規程など,対応することが必要なものがまだまだありそうです。


賛多弁護士:施行日は,まだまだ先と思いがちですが,時間の経過は早いものです。早目の準備が必要ですね。

 

 現行法の債権の消滅時効の期間は,一般債権の消滅時効が10年,職業別短期消滅時効が1~3年,商事債権の消滅時効が5年と差異がありますが,そのような差異を設けることに合理性があるかについては疑問があるとされていました。また,時効制度の単純化・統一化による時効管理コストの削減の社会的要請もありました。そこで,本改正で,時効期間について,権利を行使できることを知った時から5年または権利を行使できるときから10年ということで統一されました。(ただし,人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の場合は上記10年が20年となります。)施行日に向けて債権管理につき見直し等の準備が必要です。

 

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 堀 招子

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