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製造業

第222号 東京モーターショーと挑戦する精神

柿内幸夫─社長のための現場改善

 師走になりました。今月は忙しいながらも今年一年を振り返り、来年に思いを馳せる月ですから、そのために役に立つような文章を書きたいと思います。
 先週、東京ビッグサイトで開かれた第42回東京モーターショーを見に行きました。私は子供の頃から自動車が大好きで10歳(小学5年生)の時に当時晴海埠頭で開かれていたショーに初めて行って以来、ほぼ毎回見に行っています。50年間ずっと見ているというのも我ながらすごいなあと思います。

 50年前は自動車そのものが珍しく、ただ自動車を眺めているだけで夢を見ているような気持ちになったものです。

 私が特別な子供であったわけではなく、男子の多くは似たように車に対する憧れを持っていたのではないでしょうか(女子がどうだったかは知りません。当時、私は女子とほとんど口をきけなかったので情報がないのです ^^;)。

 今でもよく覚えているのですが、モーターショー入口で大きな紙袋をもらって、それに片っ端から各社が配るカタログを詰め込んで、家に帰ってから何度も何度も見返したものです。

 「アメリカには全ての家に車があるらしい…」という情報も驚きでした。何しろ道に車はほとんど走っていなかったのですから。

 そして当時の日本車のスピードメーターは120km/h までしか書いていないものが多かったです。東名高速道路も東海道新幹線もまだなく、100km/h というスピードは想像できませんでした。

 その頃メルセデスベンツなどのスピードメーターには180km/hとか240km/hといった数字が刻まれていて、子供ながらに外車はすごいなあと思っておりました(アメリカの車はすべてマイル表示でしたからメーターは日本車と同じ100とか120の数字でした。ちなみに1マイルは約1,6kmです)。

 当時の日銀総裁が国際分業の中では日本が自動車工業を育成するのは無意味であると、自動車工業不要論を唱えたということですが、その時としてはそれが常識であったのでしょう。当時の日本車の実力は欧米には全く及びもつかない低いレベルであったのです。

 自分でも懐かしく、たくさん書いてしまいましたが、今の若い方には一体こいつは何を言ってんだという感じだと思います。

 そうです、当時は今と全く状況が違いました。こんなところから始まって、今に至る進歩が日本の工業の歩みを支えたモータリゼーションですよね。

 さて、現在の日本は円高で輸出ができず、国内の販売も人口の減少や不景気で思うように行っていないなど、明るいニュースはほとんどありません。

 しかし、当時の全く先が読めないながらもみんなで頑張った先輩たちの時代は、今よりずっと技術レベルが低く、生活も貧しかったのは間違いのない事実です。

 そこで、客観的に考えれば、今の方があらゆることで豊かなのですから、悲しむ必要ないのではないか?!と言えないかと考えてみました。

 もちろん先行きが読めない中で、生活レベルの維持を考えると難しいのではないかと不安になる気持ちは私にもあるので分かりますが、ここで大切なのはやはり自ら何かを変えて未来を切り開くという強く明るい気持ちだと思います。

 「過去との比較でなく今をどうするか」、そして「できない理由を探すのではなくやる方法を考える」ということです。暗い気持ちになることでいいことはありませんが、明るい気持ちになって何かが始まれば、何かが起きますからね。^ ^)

 先日そんなことをブツブツと考えながら出張先で喫茶店に入ったところ、おじいさんとおばあさん二人ずつの計四人の先客がいました。

 60歳の私がおじいさんおばあさんと呼ぶのですから多分70歳を過ぎたというか80歳くらいの方々だと思うのですが、明るく大きな声で「歳を取ると物覚えが悪くなるねえ」などと言いながら何かを教え合っているようでした。

 耳をダンボにして目をそちらに向けると何とスマートフォンを全員が持って使い方を教え合っていたのでした。(下の写真は、東京モーターショーにて。ここにも耳がダンボのクルマがありました)

kaki222-1.jpg

 それを見て若い(?)私がこれからどうなるのかなあなどと考えていたのが恥ずかしくなりました。やはり勉強と挑戦は必要です。考えることも大切ですが、やはり行動ですね。

 では何を勉強して何をするかは次回にお話いたします。寒くなりましたから暖かくして風邪をひかないようにお互い気をつけましょう。 

kaki222-2.gif

copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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