「タイプA」という言葉を、みなさんもどこかで耳にしたことがあると思います。
『タイプA性格と心臓病』(M.フリードマン、R.H.ローゼンマン著/創元社)という有名な本がありますが、著者であるフリードマンとM.ローゼンマン・R・Hが、狭心症や心筋梗塞などの心臓疾患になりやすい性格傾向を研究し、それを「タイプA」行動パターンと名づけたのが発端です。
「タイプA」の概要をまとめると、
●身体面では、
・高血圧
・高脂血症
・狭心症
・心筋梗塞などの心臓疾患になりやすい
●行動面では
・機敏
・せっかち
・多くの仕事に巻き込まれている
●性格面では
・競争的
・野心的
・精力的
・何事に対しても挑戦的
・出世欲が強い
・常に時間に追われている
・攻撃的で敵意を抱きやすい
といった特徴があります。
みずから進んでストレスの多い生活を選ぶ人、仕事中毒、予定中毒の人は、総じて「タイプA」といえるでしょう。
一方、「タイプB」というのも挙げられており、それは、
・あくせくせずしない
・マイペースに行動
・リラックスがうまい
・非攻撃的
などの傾向を持つ人のことです。
タイプBに対し、タイプAの人は、2倍も心臓疾患になりやすいことが報告されました。
ちなみに「タイプC」は、
・いわゆる「いい子」
・真面目
・几帳面
・自己犠牲的
・周囲に気を遣う
・譲歩的
・我慢強い
・怒りなどの否定的な感情を表現しない
といった特徴を指し、このタイプはガンになりやすいと言われています。
ただ、人間をタイプA,タイプB,タイプCなどと3等分はできないし、この3つの要素を複雑に織り交ぜながら、ひとりひとりの個性を生じさせると思います。
そして、私は、「タイプAは心臓が弱い」というのには、少し異論があります。
本当に心臓が弱い人というのは、心優しく、自分よりも他人を優先する傾向があります。
その理由は、以下の通り。
長い長い生物の進化の過程で、人の循環器系は、
血液
↓
毛細血管
↓
動脈、静脈
↓
大動脈、大静脈
と構築されていき、最後の方で、やっと「心臓」ができるという形で発達してきました。
何となく、心臓が先にできて、そこからニョキニョキと血管が伸びていくようなイメージがあるでしょ?
事実は逆。末端の毛細血管の方が先に存在し、その道路整備がなされ、より効率よく血液を運搬するための高速道路(大きな動脈、静脈)が生まれ、最後にそれを統括するように、心臓が出来上がったというプロセスなんです。
ですから、心臓は、いつもかカラダの隅々にまで気を遣っています。心臓の弱い方の特徴は、とにかく周囲の人の気持ちが気になってしまう方が多いのです。
「あなた大丈夫ですか?満足してますか?楽しんでますか?」
「私は何を期待されているのだろう?」
「十分期待に応えられているだろうか?」
「これでいいのか?違うとしたら、私はどんなことをすればよいのだろう?」…
こうした人は、心臓弁膜症や、動悸、体温調節不良、めまいなどを起こしやすい。
一方の「タイプA」に見られる心筋梗塞や狭心症を起こしやすい人というのは、逆に「心臓が強すぎる」人なのです。
心臓は「心筋」という酸素を大量消費する筋肉でできていますから、心臓自身にも十分な血液が必要です。
心筋に血液を送っている動脈を「冠動脈」あるいは「冠状動脈」と言います。この「冠動脈」には、カラダ全身に送られる血液総量の5%もの血液が流れ込みます。
狭心症や心筋梗塞は、端的に言って心臓というより、この「冠動脈」の病気です。あまりに強すぎる心臓の力に周りの冠動脈が追いつかず、ここが動脈硬化、けいれんなどを起こして生じるものなのです。
俗に、「心臓に毛が生えている」などと言いますが、こうした人こそタイプA、三大疾患に加えられるいわゆる心臓病(心筋梗塞、狭心症)を発しやすいタイプです。
強すぎる心臓というのは、いわばトップダウン形式で、
「俺はカラダの中心だ、俺を中心にカラダは回っている」
「だから、きみはこうすべきだ」
「言われたとおりにすれば間違いない」
「おれに間違いはない。王様は俺だ!」…
などと、自分を絶対だと思っています。
でも、心臓病というのは、決して心臓だけの病気としては成り立ちません。進化の過程が示すように、末梢の血管、血液の課題が最終的に心臓に反映された結果、起こるのです。
抹消血管と心臓と、それを仲介する冠動脈と。これらのバランスがよければ、心臓病を必要以上に恐がることはありません。
心臓病の予防策には、いつも開かれたコミュニケーションが必須。とくに、目下の人の意見を十分取り入れることが大事です。
ちょっと独断専行かな?と感じたら、ぜひ心臓に手を当てて、本来の人を思いやるココロに思いをめぐらせて下さいね。
※自然治癒力学校HPをリニューアルしました。
http://cocokarafamily.com/info/nature/index.html