労働分配率の上昇が利益に影響する
次にチェックする財務指標が、労働分配率です。
労働分配率は、付加価値に対する人件費の割合を示す指標です。
付加価値の定義は様々ですが、社内での業績管理の場合は、売上高から仕入高や外注費などの直接外部調達原価を差し引いた粗利益を使うのが、簡単でおすすめです。
小売業や卸売業の場合には、売上総利益が粗利益です。
製造業や建設業の場合には、売上から変動費(材料仕入と外注費)を差し引いた金額が粗利益(限界利益)です。
労働分配率の計算式は次のとおりです。
人件費 ÷ 粗利益(付加価値) × 100
どの業種においても、人件費は固定費の中で最も金額が大きいので、労働分配率が高くなると、企業の収益性にダイレクトに影響することを覚えておいてください。
ですので、賃上げを実施する際には、労働分配率の適切な管理が求められるのです。
賃上げによって労働分配率が高まってきたら、正社員が担当している付加価値の低い仕事を非正規社員に引き継いだり、外部業者に委託したりすることを検討してください。
労働分配率の上昇は、仕事に対する報酬の支払い方を見直すきっかけになります。
現在の給料は正社員の仕事の対価として妥当ですか?