電子化による税務調査の変化
電子帳簿保存法(電帳法)の改正により、企業の帳簿書類の電子化が進む傾向にあります。
その一方で、税務行政側も、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進しており、これにより法人税および消費税などの企業に対する税務調査の方法が大きく変わりつつあります。
紙書類中心の経理業務が電子化されて、経理部門の作業効率が向上するのと同様に、税務調査も効率化されていきます。
そこで今回は、電子化による税務調査の変化について、説明します。
最後に税務調査を受けたのはいつですか?
企業取引データのデジタル収集
電子申告の普及により、国税庁は膨大な量のデータをデジタルで収集できるようになりました。
法人税や消費税の申告書だけではなく、取引に関する各種の支払調書などもデジタル・データで蓄積されていきます。
数年前までは、預金取引において税務調査で疑義が生じた場合、調査官が金融機関に出向いて調べていました。
現在では、税務調査における金融機関への預貯金照会はオンライン化され、調査に必要な預金データを簡単に入手できるようになっています。
会社の預金口座だけではなく、社長の預金口座の取引明細データも収集されていると思った方がよいでしょう。
また、これまでの税務調査では、帳簿や書類に付箋をペタペタ貼られて、それらの書類のコピーを提出していました。
最近では、税務調査で必要な書類は、PDFやCSVなどのデジタル・データで提供するように要求されます。
特に、電子取引については、デジタル・データの保存が義務化されていますので、データの提供を求められるようになります。
会社にとっては、税務調査の対応時間が短縮される反面、効率よく網羅的に調査されることになっていきます。
帳簿書類の電子化は進んでいますか?