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- 作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)
- Vol.119 2008年・注目のベトナム3大都市 視察レポート 1
3月9日(日)~15日(土)の強行軍で、経営者の皆さん18名とともに、北からハノイ・ダナン・ホーチミンをぐるりと廻ってきた。
中には、ベトナムに自社商品をすでに発注している人や、全世界に7つの海外工場を展開している猛者の海外統括役員、中国に提携工場を持つ社長など多士済々であった。もちろん初ベトナムの方も多かったが、実質5日間に政府機関、日系企業、ベトナム企業、セミナーと13ヶ所の視察を精力的にこなして頂いた。
思いつくままに大切なキーワードを列挙しておく。
・チャイナプラスワンと現地化
・大乗仏教
・尊敬される日本人
・良いワイロと悪いワイロ
・よく働く若い女性と送り迎えのバイク男
・続々と民営化され上場する国営企業群
・レンタル工場からの進出
・初任給1万円なのに億ションが売れる
・バイクの洪水とメルセデス・BMW
・企業誘致の論理と進出企業の実際
・自律できる経営者
・中古市場の活況
・昭和30~40年を思い出せ
・でもここは社会主義の国なんだ
・ベトナム人のプライドと底力……等
とにかく活気に溢れ企業の成長、国の成長を皮膚感覚で感じられる。この5年間 GDP成長が平均7.5%~8.5%となっておりホーチミンに限ってはバブルと形容してもいいほどエネルギーが溢れている。
日本とほぼ同じ面積に8500万人が暮らし、90%がベトナム固有のキン族。仏教徒75%キリスト教10%、イスラム教2%。国の一人当たり実質GDPは、$723.(06年)。ハノイでは$1394.ホーチミンでは$1709、と、2大都市が突出している。
日系進出企業もハノイ周辺で約650社、ホーチミン周辺900社もあり、ここに来て中部の中核都市ダナンも人手の確保、人件費の安さ、税等の特例誘致策などから、マブチモーターをはじめエースコックなど進出機運が高まっている。
かなり多くの工場視察をおこなったが、共通して言えることは「女性が本当に良く働く」「細かい仕事もほとんど裸眼で目がいい。手先が器用」「若い男性で良く働く人の比率が相当低そうだ」。ただ、日系の開発した工業団地周辺はすでに人手不足の状況を招いており、中国と違って、隣接した寮や宿舎がないために、日系企業同士の競争で人件費が徐々に上昇しつつある。ましてや今年1月より最低賃金が外資系企業に適応され、この10年で約60~80%上昇している。ハノイ、ホーチミンでは100万ドン(1000ドン 7円)が最低となっている。実質はもう少し高いそうだが、韓国系、中国系企業がほとんど守っていないのも、同じ外資系としては不思議でもあり、当然といえば当然のような気もする。
工場労働者と工場事務棟で働く大卒、短大、専門学校卒は基本的に違い、パソコンは使えて当たり前、何も教える必要もないとのこと。
工場では新規採用すると翌日には20~30%の人が来なかったりするのも当たり前。雨が降ると欠勤が急増するのも当たり前。だから、こちらも、そんなことでくよくよしないし、面接をしても良く判らないので、工場のグランドを走らせてまじめに走るか、体力があるかを診るだけでOK、との話もあった。
(つづきは来週へ)