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不動産

第8回 商品企画は「市場追随型」か「市場喚起型」にするかを 営業と一緒に協議すること

売れる住宅を創る 100の視点

前回、私はこれからの分譲マンションは共用施設の差別化で売るのではなく、マンション本来の人が住む住戸プランの
差別化で売らなければ売れないと思いますと申し上げました。

更に分譲マンションの供給の基本は「 商品企画 」が勝負です…とも申し上げました。

ですので今回は新規分譲マンションの「 商品企画 」について事例と共に具体的に申し上げます。

ディベロッパーさんの方々はマンション用地を取得致しますと、即「 商品企画 」の検討に入りますが
その時点で今回の私のこれから説明致します事を参考にして戴きたいのです。



「 商品企画 」のカテゴリーは大きく分けて2種類有ります。
「 市場追随型 」と「 市場喚起型 」です。

「 市場追随型 」とは読んで字の如く、マーケティング調査重視の「 商品企画 」です。
具体的に御説明致しますと、最近の分譲マンションの市場動向の統計を集めたり、マーケティング調査を基に、住戸の広さ、
価格や間取りを決定する「 商品企画 」です。これから新規に分譲するマンションにとっては過去のデータに基づいて
「 商品企画 」された物件ですので、新鮮味が無いマンションになってしまう傾向に陥っています。

現在、供給されている新規分譲マンションの「 商品企画 」は99%「 市場追随型 」です。


それに対して「 市場喚起型 」という「 商品企画 」が有ります。

この「 市場喚起型 」の「 商品企画 」は建設予定地周辺の顧客のニーズをとことん追求し、新しい「 コンセプト 」を創出し、
住戸プランには設計者の住戸に対する思い入れを反映させ、本当に顧客が求めていた住戸の広さ、価格や間取りになって
いるマンションを提供する事なのです。若干(10%前後 )高額になりますが、それなりの価値のあるマンションになります。

ですので、商品企画は「 市場追随型 」か「 市場喚起型 」にするかを営業と一緒に全社一丸で協議する事が大切なのです。
それを行なえば色々な潜在顧客のニーズが見えてどちらで勝負するかが決まります。

さて、ここでこの「 市場喚起型 」の「 商品企画 」で車を作り、最近大成功をした「 本田技研工業( ホンダ ) 」の事を
お話致します。



「 本田技研工業( ホンダ ) 」の「 CR-Z 」という車の「 商品企画 」が「 市場喚起型 」の典型的なものです。
「 CR-Z 」をご存知無い方の為にメーカーのHPのURLを下記に記しましたので、そこから御覧下さい。

http://www.honda.co.jp/CR-Z/

他の日本の自動車メーカーは「 エコカー 」というと「 市場追随型 」の「 商品企画 」でほとんどのメーカーが「 ワンボックス型 」
の小型車を作って安い価格で売っています。

処が「 ホンダ 」は今年の2月にとてもスポーティーでスタイル最優先の「 CR-Z 」という 「 エコカー 」を作りました。
今までの「 エコカー 」のイメージを払拭致し、注文が殺到しているそうです。

この「 CR-Z 」の価格はちょっと高く約260万円で4人乗りとなっていますが、
後席に大人が座ると頭が天井にぶつかる程狭いのです。

私の独断と偏見で分析した処、車のデザイン( スタイル )を最優先させ、
車の後方の屋根を下げた為に後席には子供位しか座れない様になってしまったのです。

この車はデザインがとても良いのです。多分、日本の他の自動車メーカーでこの様な車の「 商品企画 」を提案したら
即却下です。本田宗一郎のDNAを受け続けている「 ホンダ 」だから実現できたのだろうと推察致します。

車の購入者の中には後席は狭くてもデザインが優れた車が欲しいと言う人がかなり居たのです。

「 CR-Z 」は受注が大変好調で、発売1カ月での受注台数が1万台を超えたとの事です。ちなみに目標販売台数はひと月
に1000台だったそうなので、約10ヶ月分だそうです。

マーケティング担当者は「 従来の方式で需要予測をすると、いくら積み上げてもひと月に700台以上にはならない。 」
と言っているそうです。


私は分譲マンションも同じだと思います。潜在需要顧客は沢山いますが、どのマンションも差が無く「 市場追随型 」の
「 商品企画 」で無難に同業他社と同じ様な物件を供給していますので、 潜在需要顧客の購入意欲を掻き立てないのです。
この現状を打破しなければ、ブランドが強い大手財閥系ディベロッパーのマンションがそこそこに売れて、中堅ディベロッパーは
苦戦を強いられるだけです。

この不況期だからこそ、新規分譲マンションの「 商品企画 」を「 市場喚起型 」で冒険し賛同してくれた方に購入して
いただければお互いに幸福で良いと思いますが如何でしょうか…。



前回もお話致しましたが、私は昭和55年から昭和60年のマンション氷河期に「 市場喚起型 」の「 商品企画 」行い、新しい
「 コンセプト 」を創出し、分譲マンションを設計して潜在需要顧客の賛同を受け多少高額でしたが「 即日完売 」になった物件
を数多く残しました。

現在もディベロッパーの「 設計コンサルタント 」として「 市場喚起型 」の「 商品企画 」
を提案し、少しずつ実現させております。私に連絡し相談して戴ければお手伝いさせて戴きます。

現在の様なマンション氷河期には大手ディベや中堅ディベ等が「 市場喚起型 」の「 商品企画 」で良いデザインと今までに
無かった良い住戸プランのマンションを分譲し「 即日完売 」をして、マンション業界にインパクトを与えて欲しいと思います。

自動車業界では現実に実現しているのですから…。


以上

碓井民朗     

第7回 これから企業は商品企画に重点を置く事前のページ

第9回 「製販一体」の商品企画で取り組み 販売員に参加意識を持たせる事が重要次のページ

関連記事

  1. 第30回 商品企画時点の設計者との打ち合わせで配慮すべき事

  2. 第58回 コンセプトに基づいた住戸プランは良い

  3. 第52回 マンションにおける最低限のセキュリティー

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