会社の安全性は自己資本比率で評価される
中小企業は、大企業と違い財務基盤が不安定なので、業績が黒字だからといって、安心していると危険です。
社長としては、毎月の損益計算書だけではなく、貸借対照表で財務状態を必ず点検するようにしましょう。
貸借対照表は月次の金額ベースでは、あまり大きな変動がないので、全体の財務バランスを比率で捉えるようにします。
財務バランスの安全性をチェックするときに使う指標が、「自己資本比率」です。
資金調達の健全性や財務の安定性を示すこの数値は、金融機関からの融資判断や取引先からの信用評価にも直結します。
そこで今回は、自己資本比率による安全性の管理の仕方について、説明します。
経営が安定していると自信を持って言えますか?
自己資本比率の標準的な評価基準と中小企業の平均値
会社が事業活動をするための元手(資本)は、自己資本と他人資本の2つに分けられます。
自己資本は、株主からの出資金や利益の蓄積である利益剰余金などで構成され、貸借対照表の純資産として表示されます。
これに対し、借入金や買掛金などの負債は、返済義務のある他人資本です。
自己資本比率とは、総資産(総資本=自己資本+他人資本)に占める自己資本の割合を示す指標で、計算式は次のとおりです。
自己資本比率 = 自己資本(純資産) ÷ 総資産(総資本) × 100(%)
自己資本比率の一般的な評価基準は、次の通りです:
50%以上:優良
30~50%:健全
10~30%:普通
10%未満:危険
自己資本比率が高いほど、返済が必要な債務が少ないため、財務体質が安定していると言えます。
中小企業では、通常30%以上を維持することが望ましいとされています。
中小企業の自己資本比率の平均は、20%~30%程度です。
自己資本比率が10%未満だと、将来的に事業継続が困難になるのではないかと、金融機関などから心配されることもあるので注意しましょう。
中小企業の自己資本比率は、大企業と比較すると低い傾向にあります。
これは中小企業が成長途上にあるため利益の蓄積が不十分であり、そのため、事業に必要な資金を金融機関からの借入金に頼るケースが多いことが影響しています。
現在の自己資本比率は健全な状態ですか?