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人間学・古典

第十五話 「怒りを止むるは」

中国哲学に学ぶ 不況は会社守成の好機

“怒りを止むるは詩に若くはなく、憂いを去るは楽に若くはなし”(管子)

 即ち、怒りたい気持ちを押えるには詩が最もよく、心配ごとをまぎらすには音楽がよい。

 現職時代約六十年、心の底から怒った記憶がない。
思うに、失敗、過失を自分のセイにしてしまっているからだろう。
怒りの多くは責任を他に負わせるところから生じているが、自分のセイにしてしまえば振り上げた
拳骨のやり場にも困ることになる。

 中国の諺に“ひとつ怒ればひとつ年取る、ひとつ笑えばひとつ若返る”とある。私は九十五才、
これ以上の年をとりたくない。

 それでも年を取ると気が短くなる、カッとなるときがある、そんなとき、自然に自分の口から出てくる
詩か歌は、童謡の“夕焼け小焼け”民謡の“佐渡おけさ”、歌曲の“荒城の月”吟詠では“桜花”。

 去年の夕方、順調に育ちつつあった大根に除虫剤をかけるところを除草剤をかけてしまい
枯れてしまった大根を見ながら、“お経”の代わりに唐の杜甫作の“春望”を口ずさんでいた。
通りかかった犬を連れた老夫婦から節をつけて吟じてくれと頼まれたが、遠慮してしまったが、
去ってから声を張り上げた。

 国破れて山河あり、城春にして草木深し、時に感じては花にも涙を濺ぎ
 別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
 

以下略


※一部旧字を現代漢字に変更させていただいております。

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