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人間学・古典

第十六話 「人を責むるの心を以て己を責む」

中国哲学に学ぶ 不況は会社守成の好機

“人を責むるの心を以て己を責め、
         己を恕するの心を以て人を恕する”(小学)

 (他人の欠点、過失を責めるような心で自分を責め、
自分の過失を許すような気持ちで他人を許すようにせよ)

 人の非を責めるのは簡単だが、自分の非を反省するのは重要である。

 漢書には“咎を身に帰し、己を刻して自ら責む”とある。即ち、失敗、過失があったら
自分自身のせいだと考え、その責任を厳しく反省する、という意味だが、失敗を他のセイにしても、
失敗が償えるわけではなし、過失を他のセイにしたところで過失を取り戻すことはできない。
失敗、過失を苦に悩むだけ健康を損ねることになるだろう。私はいま道楽を生きがいとしているが、
野菜、果物が時折り盗まれる。

 道端のブドウが通行人につまみ食いされるが、売店の試食品を食べても無料。スイカ、カボチャ、
りんご、ビワも鳥に食い荒らされるが、啼き声も立てずに飛び立ってゆく。人も鳥も姿は違うが
食われることは同じ。怒ったところで気分を損ね、血圧を上げるだけ損失となる。

 私が銀行の常務時代、事務機械の買入れを誤り、損をしたというので部課長連名の進退伺いを
持参してきた。私は二人の名を消して、自分の名を書いて頭取に謝りに出向いた。

 頭取は見るなり、君の名を消して僕の名を書く場所がないではないか、と。
思わず私は最敬礼をしていた。


※一部旧字を現代漢字に変更させていただいております。

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