講話は経営や人生の智恵の宝の山。経営者や専門家が自らの体験を講話で伝える深さと、より楽しむ聞き方を実学・耳学・磨く「MIMIGAKU(ミミガク)」を提供する日本経営合理化協会オーディオ・ヴィジュアル局の企画担当者が毎回紹介していきます。
前号の「Track2 講演録の種類と選び方」では、経営者や専門家の講話の違いや活用のポイントについてお伝えしました。
Track3からは初めて聞かれる方におすすめの講演音声・講演映像をもとに「講演録の聞き方や学び方、楽しみ方」を伝えていきたいと思います。
1つ目の講話は1985年に600名以上の経営者に向けて、孫正義氏が28歳の時に講演された「孫正義のシェアNo.1獲得戦略」からです。個人的にもはじめてこの講話を視聴した時の記憶が今でも強烈に残っています。
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「ただいま紹介にあずかりましたソフトバンクの社長の孫です。現在、28歳です。もうすぐ29歳になります。ソフトバンクをスタートしまして4年と10カ月ぐらいでしょうか、もう時期5年になります」から講話は始まります。
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この後、事業のお話が続きます。
9月からパソコンのソフトウェアの流通の商売をはじめ、最初の年の年商200万。翌年の12月には月商で3億2千万まで成長。社員も最初は3名から始まり、他社の事務所の机2つを間借りからはじめ、本人も含めて出社した順番で机を使えたという状態からスタートしたとのこと。
このように事業の立上げ当時の話や後継者の講演で先代から引き継いだ当時の話が聞ける講話は貴重です。その時、何を感じていたのか、また、氏のターニングポイントとなる転換点などを本人の言葉で聞くことができます。
この話の続きとして氏が事業を起こした原点が始まります。講話の内容を簡単にまとめますが、講話のサンプル音声でも本人の肉声で聞けるのでご試聴ください。
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「私自身、話は少し遡りますけれどもソフトバンクをスタートする前、どういうような経過を経てきたのかと言いますと、私は佐賀県の鳥栖市生まれです。16歳の時、高校1年生の時にアメリカに1か月間旅行で参りました、その参りましたアメリカでの見た光景に大変感動いたしました。
それで是非、この国をもっと知りたいということでアメリカから、その1か月間の旅行が終わって帰ってき次第、ちょうど当時私は高校の一年生だったんですけども1年生の1学期が終わって2学期が始まるその時なんですけれども、担任の先生とそれから学校の校長先生に退学届けを出しました。
私は1か月間アメリカに行って自分の目で見て体で触れてアメリカの素晴らしさを知った。しかしもっと深く知りたいと。だから私はアメリカに留学します。大変今でもその高校好きなんですけれども、ちょうど一学年が180人ぐらいで、毎年40人ぐらいが東大に行きまして、それからあと30、40人がいろんな大学の医学部に行きます。大変今でも素晴らしい高校だと思います。
しかし私が見たアメリカのその衝撃が忘れられなくて、そちらの方に心がある種、衝動的に動いたわけです。大変に猛反対を受けました。しかし一度決心したらなんとしても行きたい、ということで結局、強引にアメリカに行きました。
それからアメリカの高校、ちょうど向こうに着いたのが2月でした。手続きをするのに半年ぐらいかかりました。高校の新学期は9月です。全くごく普通の公立高校に行った訳なんですけどもその9月の新学期入学の時期が始まるまで半年間外国人用の英語学校に通いました。そんなこんなで高校の1年生に入学いたしました。
その高校の1年生の教科書を全部取り寄せまして1週間ぐらい学校の様子いろいろ見ておりました。これはあんまり面白くないということで担任の先生と校長先生に早速掛け合いに行きました。2年生にかえてください。ということを交渉いたしました。そのまま交渉せずにじっとしておればそれなりに楽しい学生生活を過ごせたのかも知れません。
しかし私はもっと急ぎたいという気持ちがありまして交渉いたしました。結果、そんなに言うんであればということで2年生にかえてくださいました」
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いかがでしょうか。教科書を取り寄せて、簡単すぎてつまらない。早速、校長先生と交渉して2年生になりました。
この後、校長先生とさらに交渉していく驚くような話が展開していきます。また、孫正義氏が留学時に実践されていた1日5分限定の発明タイム、事業立上げの土俵の決め方、縁への感謝、事業のふたつの拡げ方、川上と川下の押さえ方などをミミガクできます。
サンプル音声や講話の文字起こしを読むだけでその風景が見えてきます。講演者の経験から語られた講演録は聞いているだけで当時の情景をそのまま描き出します。いま聞いても刺激をいただける言葉の宝庫です。ぜひ、何度聞いても元気や勇気をもらえる講話を探してみてはいかがでしょうか。