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第66回 明治の文豪に学ぶ 人生を豊かにする手紙術

業績アップにつながる!ワンランク上の手紙・メール術

こんにちは、猛烈な暑さが続きます。変わりなくお過ごしですか。

先日、NHK「ごごカフェ」という午後のラジオ番組に手紙講師としてリモート生出演しました。今この時代になぜ手紙なのか。わたしが思う伝えることの大切さや、日本における手紙の歴史、明治の文豪ふたりの手紙にまつわるエピソードを小一時間にわたりお話ししました。

夏目漱石、正岡子規

あるときは贈り物の礼状、あるときは作品に正当な評価が得られなかったときの愚痴や不満…。手紙を通して互いを理解し、切磋琢磨した夏目漱石と正岡子規。

ふたりの手紙のやりとりを読むと、作品に対する容赦のない批評のほか、ときに「もう我慢ならない」と激しく怒りをぶつけるかのような文体で思いの丈を書き綴っている箇所も見受けられます。

しかしながら、手紙には手書き文字ならではの情感があります。送り手と受け取り手のタイムラグもあります。

書く人は文字にして書いた時点でもう大方、胸の内のわだかまりを消化できるものですし、読む人も対面で怒りをぶつけられるよりはるかに客観的に受け取れるものです。

病床にある子規が「僕ハモーダメニナッテシマツタ」と死をも予感させる苦しみを吐露すれば、ロンドン留学中の漱石は短編小説ほどの文字数でユーモアを交え異国の様子を綴り、子規を励ましました。

互いの才能を正しく認め合い、切磋琢磨し、後世に残る数々の作品を生み出す原動力にしていた二人。

人と深く関わることを恐れがちな昨今、溢れんばかりの知性や感情を共有し、育み合える二人の関係は、圧倒されるようでもあり、うらやましくも映ります。

怒れないコンプレックス

わたしは幼少の頃から胸の内を声に出して表現することが苦手でした。中でも一番しんどかったのが、怒りの感情を表現することでした。

「してほしくない」「やめてほしい」「それは我慢できない」、そうした怒りの感情を正しく表現するのは本当にむずかしいですね。たった一人でも身近にわかってくれる人がいてくれたら、もう少しラクだったと思うのですが、もどかしい思いを抱えたまま大人になりました。

従業員の皆さんの生活のことまで考えなければいけない企業経営者ならなおのこと、感情的に頭ごなしの言い方をして傷つけてはいけないと我慢し、ついにはその我慢の緒が切れ、結果として自身をも傷つけてしまう…。そうした悲しい経験もきっとお抱えなのではないでしょうか。

わたしは感情表現が未熟であるがゆえに大切な人を失ったことがあります。

また、精一杯の力をふりしぼって表現したものの、相手から思うような反応が得られず、それがさみしくて心を閉ざしてしまったこともあります。

ですが、そのつど手紙が自分の武器になり、お守りになってくれました。言葉はつたなくても、気持ちを込めて謝罪の言葉をつづれば、理解や許し、納得感が得られるからです。

声に出して瞬時に伝えることは苦手でも、書くことでだったらじっくり言葉を選んで書けます。間違えたら書き直せばいいのです。

伝えられたという自信は心を強くします。相手をおもんぱかるやさしさにもつながります。思いの丈を紙に書き殴るだけでも、いいですね。

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