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コミュニケーション

90歳の父が教えてくれた――人生を変えた手紙

業績アップにつながる!ワンランク上の手紙・メール術

 こんにちは。新緑がまぶしく感じられる頃、いかがお過ごしですか。

 わたしは4月から学生生活をはじめました。体力的にはハードですが、志を同じくする若い人たちとの交流や新たな学びが楽しく、心は充実しています。

 さて、わたしはこれまで一般社団法人手紙文化振興協会の代表として、気持ちが伝わる手紙や文章の書き方をお伝えしてまいりました。

 なぜ、わたしにとって手紙だったのでしょうか。これまでの人生の振り返りとして、ここで父(昭和10年生まれ、現在90歳)のことを書かせてほしいと思います。

父の歴史が知りたい

 わたしは幼少の頃から、父が苦手でした。思春期になると、もう同じ部屋にいるだけでも心がザワザワしてしまうくらい、たまらなく苦手でした。

 初めて父と向かい合おうと思ったのは33歳のときです。身を切られるような痛くつらい失恋を経験し、「あぁ、わたしは父とのことを乗り越えない限り、幸せになれそうもないな」と本能的に感じたのです。

 しかし、父は向かい合うことから避け続けました。後でわかったことですが、父は幼少期、戦時中に負ったいくつもの心の傷から、人を慕い、ストレートに愛情表現することができなくなっていました。

 恐いのでしょう。後に、実際に「恐いのだ」と言っていました。慕うたびに目の前からいなくなってしまう恐怖。そのとてつもない恐怖を幼い頃に繰り返し経験したことで、心を閉ざさざるを得なくなってしまったようです。

 父は家族との心の交流を避け、物質的なものばかり追い求めるようになっていました。

 わたしは10数年前から少しずつ父の話を聴くよう努めてきました。戦時中のこと、祖父母のこと、親戚のこと、育った土地のこと、母との恋愛などパーソナルな話を少しずつ聴き出してきました。その過程で気づいたことは山のようにあります。

幸せの瞬間

 わたしはこれまで人生で何かうまくいかないことがあると、いつも父のせいにしていた気がします。直接、言葉にして責めるようなことを言い放った記憶はないですが、言葉には出さずともいつも胸の内でストレスを溜めこみ、そうしてしまう自分を責めていました。

 しかし、父はわたしの何倍も深い悲しみを抱えた上で懸命に働き、家族を養い、退職後は「戦争体験を語り継ぐ」活動に尽力し、大勢の人に感謝し喜ばれてきたのです。ネガティブな面ばかり見て不機嫌になっていたのはわたしのほうでした。

 つい先日のことです。感謝の気持ちを伝えたいと思い、父に会いに行きました。

 「お父さん、これまでずっと、ありがとう」という言葉とともに、いろいろな話をしました。

 父は動揺しながらも感激した様子で、別れ際、温かな眼差しを向け、わたしの右手を両方の手で包み込むようにして送り出してくれました。そんな体験は生まれて初めて。すべて許されたと感じた瞬間でした。

きっかけはいつも手紙だった

 初めて父と向かい合おうと思った20年前、わたしはまず父に手紙を送ることからはじめました。父と話そうにもどうしたらいいかさっぱりわからず、幼少の頃から慣れ親しんでいる手紙を送ることからはじめました。

 最初のうちは一週間に一度のペースでFAXを送っていました。内容は他愛もないことです。

 「お父さん、元気? 暖かくなってきたね。庭のモクレンは咲いたかな? 和子」

 「お父さん、もうすぐ〇〇ちゃん(姪っ子の名前)の運動会だね。お父さんは見に行くの? 和子は行くよ」

 ほんのその程度です。それでも10通くらい送信すると、しだいに心が和らいでいくのがわかりました。

 その後、勇気を出して父に電話をかけました。20~30秒程度しか話せず、再び週に一度ペースでFAXを送り続けました。また少し心が和らぎ、思い切って電話をかけ、徐々に会話らしい会話ができるようになっていきました。FAXの短い文面を考えることが「心を寄せる」習慣になったのでしょう。

手紙の力は心を寄せること

 メールやLINE、SNSでメッセージを送ればすぐに返事が来て当然の今、わざわざ紙を用意し、ペンを持ち、手書きで文字をつづるのは時代錯誤に他なりません。

 むろん、同意します。その上で、わたしがいつも感じている手書きの力をここに記します。

【書くとき】

◎相手のことを想像する貴重な時間が持て、感謝やなつかしさや胸のときめきを感じる豊かな時間が過ごせます
◎相手のよいところに気づけ、感謝できます
◎日頃の感謝を文字で返すことができ、心が充足します
◎文字をつづるうちに自分の気持ちに気づけ、自分を客観視でき、高ぶった感情が穏やかになります
◎思いを文字にして伝えることで、意志が強くなります
◎とっさの場面ですぐに伝えたい言葉が出てくるようになり、言えなかったひと言に泣くことが減ります
◎季節の移り変わりや暦に自然と関心が高まり、眠っていた好奇心を刺激できます

【受け取るとき】

◎文字から相手の人柄や個性を感じ、相手のことを想像する豊かな時間が持てます
◎返事を急かされている感覚がなく、その気軽さにホッとします
◎紙、ペン、切手、手書き文字など言葉以外からも相手の人柄や性格を想像して楽しめます

皆様に何か少しでも気づきやヒントを得ていただけるとしたら、嬉しく思います。

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