【意味】
まず部屋を清掃し、声を出して読書をする。
【解説】
26年前から「100万人の心の緑化作戦」を提唱し、その一環として会員の皆さんの生き方を確立するために、東洋思想に学ぶ「人間学読書会」を名古屋・静岡・浜松の3地区で開催しています(延開催341回・延参加者48,000人)。
『前言往行(ゼンゲンオウコウ)』とは古人の名言や行動から生き方を学ぶことですが、この読書会も名著から学ぶ前言往行のための会といえます。この取上げた名著は、論語・老子・韓非子・言志四録・菜根譚・貞観政要・宋名臣言行録・三国志・正法眼蔵随聞記などの9冊となります。
「なぜ、多くの会員が継続的に参加するのか?」という質問を受けますが、「会の運営担当者の熱意は勿論ですが、会独自の『名言の和紙清書法』という読書法を薦めているから・・」と答えます。すると次に「名言の和紙清書法とは?」ときますから、「気に入った歌をカラオケで練習し、持ち歌にするのと同じ方法です」と答えています。
本掲句の読書法も(1)目で読み、(2)声を出して読むことを説いていますが、『名言の和紙清書法』では(3)更に手による名言の清書も行います。
「読書とは、書を読むという逆読みにあらず、読んで書くという順読みである。
名言を目で読み、口で読み、和紙に書き写すことを『名言の和紙清書法』という」
現代人の読書力が浅くなったといわれますが、読書会の初めての参加者には3~4ヶ月で500枚の和紙清書を薦めます。食物の胃腸吸収率と同じで同じ書物を読んでも、人それぞれの吸収率の差が生じます。500枚の清書によって読書吸収率を鍛えながら人間学読書会に参加してもらえれば、会で学ぶ名言の魅力も増して、参加も継続的にできることになります。
最近の出版業界では、本来は格調高く表現する内容であるべきものを、敢えて読者や視聴者に迎合して低くしている傾向があります。この傾向が国民の読解力の低下を招き、次第に「お粥のような書物」が氾濫する原因にもなっています。中国語や日本語には漢字という表意文字がありますから、読書力の向上工夫をして格調高い文章や書物を味わいたいものです。
『人間学読書会』の主宰者として多くの会員の読書法の工夫を聞きいてまいりましたが、それらをまとめて理想的な読書法として掲げれば、以下のものになります。
(1)環境の整備 → 部屋と机上を清め、
(2)姿勢の整備 → 心と姿勢を整え、
(3)読書の方法 → 目で注意深く見て、声を出して読み、
(4)行間書き込み→ 行間や空白欄への意見の書き込み(第二の著者の意識)
(5)和紙の清書 → 感銘した名言名句の和紙清書