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マネジメント

第66回 『成功の原点』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

「45歳までには社長になろう」――― 30代に私が描いた目標だった。

シェル石油(現・昭和シェル石油)に10年勤めた後、日本コカ・コーラに転籍したとき、私は32歳。
私生活では次男が誕生し た年であった。

当時は、終身雇用。就職した会社には一生勤務するのが当たり前という時代。そんな中で、自分の意思で転職をした。
両肩が重くなるほどのプレッシャーを感じたものだった。


そのプレッシャーに負けぬ自分であるために、具体的な目標を立て、紙に書き出してみた。

3年以内に、マーケティングに関しては日本コカ・コーラでナンバーワンといわれるベテランになろう。これが中期目標だ。
日本コカ・コーラは、当時から日本でトップレベルのマーケティング力を誇る会社であった。
社内には切れ者のマーケッターが数多くいる。彼らを押しのけナンバーワンとなる為には、やるべきことがドンドン出てくる。
今度はこのセミナーに参加しよう、今年はこれとこれをマスターしよう…。これが短期目標だ。

長期目標は、45歳までに社長になろうというものだった。
企業人として生きる以上は、経営トップの座に就きたい。
同じなるなら、体力も気力も充実した、あまり歳をとらないうちにたどり着きたい。

当時の日本社会の常識からいえば、45歳の社長は、世襲でもない限り最短距離という感覚があった。


この目標を含むいくつかの目標を書き出した紙を手帳にはさみ、机の引き出しの中にも入れた。
自宅のトイレにも張り、しょっちゅう目につくようにした。その紙を見るたびに、イヤでも自分の掲げた目標を思い出す。

こうした極めてシンプルな仕掛けを作っておく。見るたびに気を入れて、目標に向けて努力する。
これを4、5年も続けていると、毎日、目標につながる何かをすることが習慣になってしまう。

ここまでくればしめたもの、そんなに自分を駆り立てなくとも、まるで朝に新聞を読むのが日課であるように、
目標への階段を登ることが習慣になってしまう。

結果、私は32歳のときの目標通り、45歳でジョンソン・エンド・ジョンソンの社長になった。


私の原点は、姉にある。

7歳年上の姉は英語を得意としていて、私は子供心にも姉に憧れと尊敬を抱いていた。
小学生の頃から姉に英語を教わり、将来は英語を使って世界に羽ばたき、
国際舞台で仕事をしてみたいという夢を持つようになっていた。

高校、大学と進学する間も、英語放送を聴いたり、英字新聞を読むなどして、
英語力にはいっぱしの自信を持てるまでになってい た。

大学の卒業が目前に迫り、具体的に就職先を考えたとき、私は進路を外資系企業に絞り込んだ。


理由は、ふたつある。

ひとつは、子供の頃からの夢であったグローバリスト(国際人)として生きる可能性に一番近い就職先であったこと。
もうひとつは、終身雇用・年功序列型の日本の雇用システム、早く云えば横並びのシステムに納得がいかなかったことだ。

ある国内企業の就職説明会に参加したところ、人事部長は200名ほどの学生を前に
“我社は、入社後13年で平等に係長に昇進できる。それまでの間も、給料格差の無い、非常に良い会社だ…云々”
と力説した。これを聞いて、私は日本企業の門を叩くことはいっさいやめてしまった。


私は、自分が努力し、実力をつけ会社に貢献する仕事をすれば、それなりの評価と処遇をしてくれ、権限と責任が
与えられる会社に行きたかった。すべては自分次第、悪いときは落とされもする。そうした環境で仕事をしたかったのだ。

こうして最初に就職したのが、シェル石油だった。ここには10年在籍した。
その後、日本コカ・コーラに転籍し、ここでも10年。途中、アメリカ勤務を2年半経験した。
次にジョンソン・エンド・ジョンソンに入社。入社4年後には代表取締役社長に就任した。4期8年の社長職を務め、退任。
以後は、日本サラ・リーの社長、サラ・リー米国総本社の副社長、日本フィリップス代表取締役副社長、日本ホールマーク
社長などを歴任してきた。


その原点は、32歳のときに立てた「45歳までには社長になろう」という目標にある。



新 将命     

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