その1.なぜ実績なしの工務店が、地域で1番にえらばれるようになったのか?
経営に不可欠なものは、会社の「あり方」と「やり方」です。
やる気とやり方と言い換えてもいいでしょう。
人脈もなく、顧客もゼロ、そして実績もなかった株式会社丸茂工務店の代表、
丸茂清和さん。
脱サラをして大工の見習い、修業を通して工務店の経営を始めました。
お客さまに喜んでもらえる仕事をしたい!と強い願望が彼にありました。
それは、大工仕事なら何でもいいわけではなく、
リフォーム会社として地域に根づきたいと考えていました。
「大工の仕事として新築工事は魅力的です。
でも新築は工事期間が長く、利益率が悪いし、お客さまの満足度は
リフォームのほうが高いだろうと思っていました。
やるならリフォームだと。
新築の下請けは、施主さんと直接親しくなることもできません。
お客さまのお役に立てているはずなのに、
実感を持ちにくい関係でした。
下請け工事店として新築物件も手がけたからこその思いです。
であれば、生まれ育った町のほうがいい。
このあたりの町の成り立ちがわかっているし、
地元の人たちが大好きだからもっと役立ちたいと考えたのです。
それに、ここは、厚木基地が近いことによる騒音問題など
地域特有の環境もわかっています。
私を育ててくれた地域のみなさまに、
リフォームという仕事でお役に立とうと決めたのです」
営業エリアは会社を中心に車で10分圏内に設定しました。
なぜなら、リフォームという仕事は地域で暮らす人たちの安心と安全を
守ることが目的だと考えたからです。
「万が一のトラブルにもすぐに駆けつけられる」範囲は車で10分。
ゼンリンの地図を広げて、地域を歩いて回りました。
リフォーム施工の対象となる木造住宅を確認し、
地図に一件ごとに印を入れました。
営業エリアで対象となる世帯数を数えてみると、ざっと3500世帯ありました。
「まずは、この地域で一番に選ばれる工務店になる!」と丸茂さん。
地域シェアで1位を目指すために合理的に取り組むことを
戦略といいます。
地域密着で強い会社をつくるためには、
どこで1位になるのか、その目標を明確に立てなければなりません。
これが強い会社をつくるための第一条件なのです。
仕事の目的、目標を明確にすることでより生産性の高い
事業をつくることができるのです。