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人間学・古典

第31講 「言志四録その31」
性分の本然を尽くし、職分の当然を務む。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
天地自然から与えられた人間性能を充分に活かし、自分の行うべき仕事に励む。


【解説】
自他の比較思考に慣れた現代人は、掲句のような本質論で迫る言葉に弱いようです。
月給が多い少ない、社内地位が高い低い、得をする損をするなど・・の比較判断ならば瞬時に下すことができます。
しかし大上段から、人間の本質は何か、お前の使命は何か・・と問われますと答えに困ってしまう人々が増えています。


「洞察力」とは事の本質を見抜く力です。
これは物事を深く粘り強く考え続ける訓練により身に付きます。
三国志の魏志に「読書百遍にして義自ら見る」とあります。
難解な名言を一ヶ月考えて解らなければ、更にもう一ヶ月考え続けよという教えです。

一見強気の勇ましい教えですが、経験からすれば気軽な取り組みを優先して、力み過ぎて中断しないことが肝心です。
折に触れて通勤電車の中や就寝時の布団の上などでぼんやりと
考えていますと、自然に潜在意識レベルの思考が始まります。
これを私は「アイドリング潜在思考」とよんでいますが、思考の総量が貯まってくれば自然に顕在意識の領域に溢れ出します。


掲句の「性」とは、立心偏に生と書くことから生まれつきということ。
「性分の本然を尽くす」とは、天地自然から与えられた人間性能を充分に発揮せよという意味です。

「職」とは、為すべき義務を履行すること。「職分の当然を務む」とは、社会の中で活かされていることに感謝し、
ご恩返しのつもりで自分の役割である仕事に 励めという意味です。


人間学では「天命観」「使命観」を大切にします。
一方の創造主側である天地自然と、もう一方の創造される側の万物(人間も万物の一つ)の関係を表す言葉です。
創造主の天地自然は、ある種の期待(命令)をもって人間を世に送り出します。
当然送り出された人間もこの期待(命令)を宿して生きることになります。
この天が期待する命令を「天命」といい、人間が果たすべき責任を「使命」といいます。

このように「天命」「使命」は、「宇宙自然力の後押しをえた生命力」となりますから、
個人我欲による生命力とは比べものにならない強さが生まれます。
立派な業績を上げた歴史上の人物が「○○の天命を担った男」や「○○の使命を実現した男」と称えられますが、
宇宙直結の生命力に支えられた活動だから、立派な 業績に繋がったと考えます。


「人間学を何のために学ぶか?」と問いかけてくる企業人が増えてきました。
主宰する「人間学読書会(無料)」も、22年間で291回の開催で延参加者4万人を超えました。
お陰さまで数多くの天命観・使命観を担うレベルの指導者が育っています。
トップの自己鍛錬する最適の会ですので、ぜひご参加されることをお勧め申し上げます。

 
 
杉山巌海

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