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人間学・古典

第104講 「論語その4」
暴虎馮河、死して悔いなき者は、我ともにせず。必ずやことに臨みて恐れ、謀を好みて成す者なり。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
素手で虎に立ち向かったり、歩いて大河を渡ったりする命知らずの者とは、一緒に仕事をしたくない。一緒にできる者は、臆病で注意深く綿密な作戦のできる人物である。



【解説】
 顔回・子路は共に孔門十哲に数えられる代表的な弟子です。顔回は41歳で亡くなりましたが、孔子が「天は我を滅ぼせり」と悲憤するほど将来を嘱望された人物で、自分の後継者にしたいと思っていた弟子でした。一方の子路も任侠の徒の出身で、孔子の弟子としては珍しく武勇を誇り正道を貫く剛健の男で、孔子に可愛がられた一人でした。

 ある時武勇を誇る子路が孔子に向かって、「仮に先生が大軍を率いられるとしたら、誰を副官として任命されますか?」と質問しました。日頃褒められる顔回に対する競争心もあったのかしれませんが、当然腕っ節の強い自分が副官として推奨されるとの期待を込めての質問だったのですが、返ってきた言葉は掲句のように蛮勇をたしなめられる言葉でした。

 組織の人選においては、一般的に適者配置が原則ですが、人材不足の組織では掲句のように不適者配置を避けることが大切になります。
 この不適者配置を心掛けたのが、堪忍の武将やタヌキ爺といわれる徳川家康です。家康は「自爆型の人間には、組織は任せぬ」と述べています。兎角血気に走る人物は時として冷静な判断ができずに暴走し、組織を破滅に導く恐れがあるからです。
 俗諺にも「才無き礼ある者を挙げても、才ある礼無き者を挙げず。礼ある者先とす」とあります。才とは英気才能であり、礼とは礼儀作法だけでなく広い意味での応対辞令の備わった者となります。応対とは周りに対する態度で、辞令とは周りに発する言葉です。冷静な判断ができずに一か八かの博打的な性格の者は、応対辞令の欠け組織の長にしてはならない人物となります。

 過日も若手国会議員や次期衆院候補者が挨拶に来てくれました。彼らは国家を担う志あるある若者ですから、会う度に成長途上にあることを実感します。「派閥の先輩議員の選挙活動や党派活動を見習うことも大事なことですが、手遅れにならないうちに政治家の土台学問である人間学も勉強しなさいよ!」と強調しておきました。

 世界の政治ジャーナリストから評価が高いのは、ここ半世紀の世界の政治家の中では中国の周恩来元首相(1898~1976)です。毛沢東と並ぶ代表的な政治家で、毛沢東の激情型人物に対して、周恩来は思慮深い人物でした。当時のケネディやネールと比較されても「人間的な密度の次元が違う」とされ、「中国古来の徳人としての優雅さ、礼儀正しさ、謙虚さを身に付けている人物」と評価されています。
 周恩来は次のように述べています。人民国民に対する誠実さがにじみ出ています。
 「我々は如何なる問題に対しても、『知っていることは知っている、知らないことは知らない』という・・・正直な態度を堅持しなければならない」(周恩来)

 

杉山巌海

第103講 「論語その3」 吾、十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず。 五十にして天命を知り、六十にして耳に従い、 七十にして心の欲するところに従いて矩をこえず。前のページ

第105講 「論語その5」 朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。次のページ

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