menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第46回 同社躍進の方法論は、意外に汎用性があるかもしれない:「プリマハム」

深読み企業分析

もはや大きな変動もなく、成熟して、安定過程に入っている食品市場において、大きなシェア変動が起こることは希である。しかし、稀ではあるが、起こることがないわけではない。そんな稀有な例がこの数年食肉加工市場において起こっている。それはかつて業界4位であったプリマハムによる大躍進である。
 
fukayomi46no1.jpg
 
上側の図はこの4年間の上位4社のハムソーセージ市場における売り上げ増分を比較したものであるが、市場の売り上げが増えた分の82%をシェア4位であった同社が独占し、2016年度には3位に躍進したと考えられる。しかも、売上高では依然3位であるとは言うものの、ハムソーセージを含む加工食品の営業利益ではトップとなった。なお、食肉加工業では加工食品のほかに食肉の貢献度が高い会社もあるため、全社の利益では依然3位ではあるが。
 
その結果、直近9期間で同社の営業利益は4倍ほどに拡大している。
 
 
 
fukayomi46no2.jpg
 
この背景にあるものはコスト競争力の差である。かつては倒産寸前までいった同社であるが、この10年ほどで工場の生産性を上げたことによって、コスト競争力が他社を圧倒するようになった。
 
食品市場では多くの企業がコスト削減に取り組んでいるが、ブランドが幅を利かせる食品市場において、コストでシェアが変動するケースはあまりない。しかし、ハムソーセージ市場で比較的規模の大きいブランドと言えば、日本ハムのシャウエッセンくらいしかない市場であり、多くの消費者はスーパーの店頭でハム、ソーセージ、ベーコンという必ずしもブランドのない商品を買い求めることが多い。
 
また、意外ではあるが、食品の製造工程におけるコストはガラパゴス的に個々の企業ごとの工場で独自に進化、発展することが多い。そのため、時に思わぬコスト差がついていることがある。まさに、ハムソーセージ市場における同社の成功はそんなところから生まれたものである。
 
 
有賀の眼
 
ハムソーセージ市場というすでに成熟した市場において、このような大変化が起こることは希と考えられるが、それゆえその変化を引き起こした時のインパクトは大きなものである。もちろん、こんな市場はそうあるものではないが、まったくないわけではない。ここで、ハムソーセージ市場の特徴を考えてみると、ブランドがないということとコンシューマー製品ではあるが、直接の顧客は小売業であるということが上げられよう。つまり、BtoBであるがゆえに、価格差に敏感な顧客が相手であるため、コスト競争力が極めて大きな意味を持つということである。
 
食品市場には意外とそんな市場が多く、当コラムでかつて紹介した天然調味料市場におけるアリアケジャパンや前回紹介した豆腐市場のやまみなどもその例である。
 
 
もしかすると、自らビジネスを行っている市場が、ブランドの価値が低く、BtoBの市場であれば、ひょっとすると徹底的なコスト削減を行うことで、典型的な下克上を引き起こせるかもしれないので、一度検討してはどうかと思う。
 
 

第45回 零細企業乱立で、厳しい市場だからこそチャンスがある :「やまみ」前のページ

第47回 先行投資による利益の落ち込みを投資家に納得させる経営:「サイバーエージェント」次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 【お金の授業】小売・流通業のAI・DX戦略と株式投資

    セミナー

    【お金の授業】小売・流通業のAI・DX戦略と株式投資

  2. 《最新刊》有賀泰夫「2026年からの株式市場の行方と有望企業」

    音声・映像

    《最新刊》有賀泰夫「2026年からの株式市場の行方と有望企業」

  3. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

関連記事

  1. 第84回「食品スーパー、食品流通の縁の下の力持ち」サイバーリンクス

  2. 第132回 弛まず進める製造装置の改良で競争力向上はエンドレス(やまみ)

  3. 第91回「無双状態の強さが顕在化し始めたスシロー」フードアンドライフカンパニー

最新の経営コラム

  1. 相談10:別れた女房が株式をもっています。どうしたらいいでしょうか?

  2. 第148回「業績停滞下、再び似鳥氏が開発の陣頭に立ち、復活の兆候が見え始める」(ニトリホールディングス)

  3. 第81回 「日本人のメメント・モリ」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2026年1月28日号)
  2. マネジメント

    第389回 「単位当たり」の販売術
  3. 戦略・戦術

    第十五話 スタッフの対応力こそ商品力①
  4. 健康

    第23回 「思い込みを壊す」
  5. 仕事術

    第164回 USBメモリはもう古い?スティック型SSDで時短!
keyboard_arrow_up