menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人間学・古典

第39講 「言志四録その39」
歴代の史書を読むべし。上下数千年の事跡を羅ねて胸憶に在らば、亦快たらざらんや。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
歴史書を読むべきである。
古今数千年の人類の足跡が自己の胸中に整理羅列されれば、何と痛快なことであろうか。


【解説】
岩波新書に貝塚茂樹氏の『中国の歴史』三巻という名著があります。
一概に中国の歴史書といわれても、大別すると二種類になります。
一つは貝塚先生のような歴史学者が、現代の視点から数千年の中国の歴史を総合解説した教科書的な歴史書と、
もう一つは「漢書」「三国志」などに代表されるような古典史書に属する歴史書です。


前者の教科書的な歴史書には、中国の歴史が体系的に整理され大局的な中国理解には都合がよいものです。
一例を挙げれば中国人(特に現代中国人口の約93数%を占める漢民族)は、
古くから自分たちが世界の中心であるとする「中華思想」を持っています。
“中” とは世界の中心、“華”とは文明を意味しますが、このような民族思想を捉えるにはこの種の教科書が便利です。

後者の古典史書は、その時々の王朝の公式文書である正史の一つとして書かれたものです。
しかし正史ですが日本のように歴史的史実に重きを置いて述べているものではなく、
むしろ主に君主や宰相の人物論を述べながら副次的に歴史的史実を述べる傾向があります。


なぜそのようになるかといいますと、中国の皇帝は、天地自然の神様(天帝)の子
としての天子であると共に人民のトップたる君主であるという二面性があります。
何をなしたかということも大切ですが、如何なるレベルの人物であったから、
このような王朝の成立・繁栄・没落を招いたという人物視点も大切なのです。

それ故に中国史書は、人物論的な表記が多くなり『史書⇒帝王学書⇒人物書』という流れの書物になります。
その代表例が実践的な帝王学の教科書として有名な「貞観政要」ですが、
唐の2代目の名君太宗の人柄や言行をクローズアップした素晴しい人物書でもあります。


次に、なぜ歴史書を読まなければならないかという点を考えてみます。
人間の寿命が千年も続くものであれば、自らの経験だけで過ちのない人生を送れるのかもしれません。
しかし七百万年の長さを誇る人類の歴史も、中身を覗けば各人の70~80年の短い人生が積み重なったものです。

歴史書にはその時代ごとの先人達の人生ドラマが盛り込まれています。
成功例だけでなく数多くの失敗例も示されています。
この先人の生き方を研究しないで、 瞬時に過ぎ去る一回限りの人生を間違いなく過すことは難しいことです。

過ぎ去った歴史が役に立つのかと思われがちですが、歴史学は人生の土台作りの学問です。
単なる史実として捉えるだけでなく、君主や宰相の人物論や言行録と して捉える所に歴史書の値打ちが現れてきます。
それだからこそ人間学において歴史書を学ぶことを大切にするのです。
 
 
杉山巌海

第38講 「言志四録その38」得意のときは言語多く、逆意の時は声色を動かす。皆養の足らざるを見る。前のページ

第40講 「言志四録その40」書は妄りに読むべからず。熟するところありて可なり。終身受用せば足る。次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 社長の大義と実践経営

    音声・映像

    社長の大義と実践経営

  2. リーダーの心得 社長の経営洞察力篇

    音声・映像

    リーダーの心得 社長の経営洞察力篇

  3. リーダーの心得 好・不況時の社長心得篇

    音声・映像

    リーダーの心得 好・不況時の社長心得篇

関連記事

  1. 第28講 「言志四録その28」
    静を好み動を厭うを懦という。懦は事を了するを能わず。動を好み静を厭うを躁という。躁は物を鎮むるを能わず。

  2. 第34講 「言志四録その34」
    鶏鳴いて起き、人定にして宴息す。門内粛然として、書声室に満つ。

  3. 第33講 「言志四録その33」
    人は、貴賤の各分の有るを知るべし。

最新の経営コラム

  1. 「展示会の見せ方・次の見どころ」(2026年6月)

  2. 第56講 カスタマーハランスメント対策の実務策㊸
    『これを棄てろっていうことか!』第3部

  3. Vol. 8 コーヒーの街が、抹茶を選んだ理由 ― お疲れニューヨーカーの現実(前編)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 愛読者通信

    成長見える化シートを使えば、 社員の育成と定着は同時に進みます
  2. マネジメント

    交渉力を備えよ(22) 確約は直接会って取れ
  3. サービス

    69軒目 「親から受け継いだ店を発展させる若き大将」
  4. 教養

    第3回 『太極拳が教えてくれた人生の宝物』(フランソワ・デュボワ 著)
  5. 経済・株式・資産

    第26話 中国ビジネス成功への道筋―滋賀県平和堂の挑戦―
keyboard_arrow_up