menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人間学・古典

第80講 「帝王学その30」
一言 善からざれば 人これを記し その恥塁を成す。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
たった一言でも気に障るようなことをいえば、人はそれを屈辱と感じて復讐を企てる。



【解説】
「貞観政要」の言葉になります。
「口は禍のもとなり」(俗諺)といわれますが、人間は言葉の出入りに細心の注意を払う必要があります。
唐帝二代目:太宗(タイソウ)ほどの大権力者であっても、「言語は、君子の枢機(大切なこと)なり。談(会話)、なんぞ容易ならん」といって、自分の言葉には細心の注意を払い、臣下との会話にも気遣いを忘れません。ある意味では、このような普段の気遣いがあったからこそ、臣下の反乱も無く中国史上の最高の治世である「貞観の治」が達成できたものと思われます。

先ず発する側からの言葉を考えてみます。
相手側に恥辱を与える目的や攻撃を意図する言葉とは違って、こちらが気付かないうちに相手の屈辱感を引き出してしまう場合の言葉は、要注意となります。
例えば、年下の者から“君”付けで呼ばれたりすれば、相手の屈辱感情は激しいものになります。年功序列が崩れつつある日本社会ですから、自分よりも年上の部下を持つケースも多くなりますが、社内の身分関係だけで“安易な君付け呼称”をしている上司では、身内に敵(獅子身中の虫)を作ることになります。このレベルの言葉配りでは、役職者としては失格となります。
  「部下への欠礼は、獅子身中の虫を育てる」(巌海)

過去の歴史を振り返っても、実力があっても気遣いに欠ける者は、なかなか最終的な成功者に成れていません。その代表例は、臣下光秀の恨みを買い本能寺の変で殺された信長ですが、興味深いのはそんな信長であっても、難敵武田信玄に対しては礼を尽くした贈り物をしていた事実です。
家族・部下・後輩・下請け業者に気遣いのない言葉を発しているようでは、地位や立場は上でも人間品位としては三流と自戒しなければなりません。

次に受け取る側からの言葉を考えてみます。
多くの人々から様々な言葉を浴びせかけられるわけですが、基本は大きな度量で対応し次元の低い怒哀感情を起こすべきではありません。不良仲間の因縁ケンカならいざ知らず、少々気に障る言葉でも聞き流すことができる度量が必要です。相手の意図する言葉にはまって怒り悲しむのではまずいですし、意図の無い言葉であれば自身の勝手な独り相撲をして苛立っているだけに過ぎません。我が心の主人公は自分自身であることを忘れずに、“ゆったりした度量ある対応”を心がけたいものです。
  「無礼無知なる者に心を惑わされるようでは、自分も同等レベルの人物である」(巌海)

 

杉山巌海

第79講 「帝王学その29」 第一に清畏せよ。 人の知らんことを求むることなかれ。前のページ

第81講 「帝王学その31」 凡そ事、皆すべからく本を務むべし。次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長の大義と実践経営

    音声・映像

    社長の大義と実践経営

  2. リーダーの心得 社長の経営洞察力篇

    音声・映像

    リーダーの心得 社長の経営洞察力篇

  3. リーダーの心得 好・不況時の社長心得篇

    音声・映像

    リーダーの心得 好・不況時の社長心得篇

関連記事

  1. 第65講 「帝王学その15」
    国を治むるは、樹を栽うるがごとし。本根揺かざれば枝葉茂栄す。君よく清浄ならば、百姓なんぞ安楽ならざるを得んや。

  2. 第53講 「帝王学その3」
    大将たる者は、よく位を出でて分を犯す副将を斬らば難しからず。

  3. 第76講 「帝王学その26」
    太宗、一駿馬あり、にわかに死す。馬を養う宮人を怒り、これを殺さんとする。

最新の経営コラム

  1. #4 一流の〈名刺力〉-名刺は必要?不要?-

  2. 第51回 生産性向上ではなく、商品力向上へ

  3. 第155回 データをスマホからPCに簡単転送【Google Drive編】

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 製造業

    第185号 コスト第一主義の危険
  2. マネジメント

    第53回 『問題意識が機会を生む』
  3. マネジメント

    『貞観政要』の教訓(7) 後継者教育
  4. マネジメント

    第二十話 商人は信用が一番だ(神田屋鞄製作所)
  5. マネジメント

    故事成語に学ぶ(10)薪(たきぎ)を積むが如し(下)
keyboard_arrow_up