menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人間学・古典

第81講 「帝王学その31」
凡そ事、皆すべからく本を務むべし。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学


【意味】
何事も根本の部分をしっかりと行うことである。



【解説】
この句も唐帝:太宗(タイソウ)の言葉で「貞観政要」からのものです。
Number oneとOnly oneは、共に数字の1に繋がる日本人には使いやすい英語表現です。前者は多数の中の第一番ですから相対的な比較順位であり、後者は多数の中の個性的な唯一の存在ですから絶対的な独立評価から生れます。
朝礼の参加者の姿勢を例に取りますと、ナンバーワンは参加者の中で一番好ましい参加姿勢を取れる者となりますが、全員の参加水準が低い場合には高いものとは限りません。これに対してオンリーワンは「自分流の朝礼姿勢はかくあるべし」という根本の部分が確立されていますから、その参加姿勢に独特な魅力が漂っています。

掲句に続き太宗は、「国の本は民である。兵役などの賦役により農耕の時を奪ってはならぬ」と述べています。
唐の創業は、前王朝"隋"末の18年間の戦乱で人口も最盛期の三分の一まで減少した時期でした。太宗は元々勇猛果敢な青年武将として活躍し、父高祖(コウソ)の8年の後を継いで28歳で帝位に就いた人物です。根っからの武将ですから兵役重視となりがちですが、"国の本は民の安定にあり。民の安定の本は農にあり。更に農の安定が兵力に繋がる"という独自の信念を持っていました。
その意味では見事に「我が治世はかくあるべし」としての自分流の統治ができた皇帝でした。この意味から太宗は"Only oneの皇帝"であって、その治世レベルは歴史的に検証すれば"中国3000年の中でNumber oneの皇帝"という評価にもなり、大皇帝の名を欲しいままにしていまします。

先日、地元にあります日本酒と豆腐料理の店の開業35周年の席に招かれました。80歳の女将さんと息子さんが守り続けてきた店で、日本酒好きには宝物のような飲み屋さんです。行く度に文句のないおいしい銘酒にあり付け、日本酒の温度管理が上手ですから時には十数年前の古酒も飲ませていただき、豆腐料理も絶妙に酒に合います。
記念の席では永年の馴染み客ということで主客の後に挨拶をする羽目になりました。雄弁家の主客に大方の話をされてしまったので、とっさに次の句を創って挨拶をしました。
  「旨酒(ウマサケ)の 孤塁(コルイ)守りて 三五年(サンゴネン) 傘寿(サンジュ:80才)の母に 子の偉業」(巌海)
挨拶を終えると列席者の一人が、「ましく孤塁守りて35年だ。私も35年来の客だが、酒と料理が何度来ても新鮮だから不思議だ」と話し掛けてきました。
実はこの35年の間に何度か「豆腐以外の料理も・・」と助言してきたが、頑として聞き入れてもらえなかった。35周年の席で掲句の「凡そ事は、皆すべからく本を務べし」をふと思い出し、改めてこのままの日本酒と豆腐料理だけよいと感じ入った次第でした。太宗は23年間ですが、80才の女将さんと息子さんは実に35年の永きにわたり孤塁を守り続けているのですから・・・。
  「旨酒を味わうには、酒味・料理・猪口に合わせた飲み手の品位も必要である」(巌海)

 

杉山巌海

第80講 「帝王学その30」 一言 善からざれば 人これを記し その恥塁を成す。前のページ

第82講 「帝王学その32」 任用するところは、必ず須らく徳行学識をもって本となすべし。次のページ

関連記事

  1. 第27講 「言志四録その27」
    大いに書を読み耽る者有れば、これに教えて静坐して自省せしむ。

  2. 第123講 「論語その23」
    学びて、時に之を習う。また説ばしからずや。

  3. 第19講 「言志四録その19」
    暁に早起を要し、夜に熟睡を要す。

最新の経営コラム

  1. 第169回 「達人に学ぶ①アパホテル 元谷拓さん」

  2. 第4講 まず、担当者がお客様との正しい関係に合った対応をすること!

  3. 第19回 成長するフィンテック企業の戦略 ~ クラウドファンディング Makuake ~

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 税務・会計

    第41回 小口現金と仮払金があるだけで、管理労務コストが膨れます
  2. 経済・株式・資産

    第50話 魅力的な不動産でも、銀行融資のハードルが高いものには手を出すな
  3. ブランド

    <事例―13 テンピュールの「マットレスや枕」(B2BとB2C)>快適な睡眠を初...
  4. 社長業

    Vol.55 ダントツに売上を伸ばす、”女性セールス”の...
  5. キーワード

    第31回(新しく生まれ変わらせる)「和菓子 松屋」
keyboard_arrow_up