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40軒目 「あえて薄切りを売る焼肉店」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

あえて薄切りを売る焼肉店
 
 
東京苑(東京)
shikumi40_01.jpg 焼肉店のコンサルティングをしているとステーキがメニューある店が多い。そのような店の経営母体の多くは食肉問屋である。
 
 いい肉を扱っているのはわかるが「ステーキを食べに焼き肉店に来るのだろうか?」という疑問があった。
 
 そのような場合、オーナーに聞くと「いや結構出るんですよ」と答えが返ってきた。しかし、このオーナーは不振だから私に相談に来ているわけで、そこに何か原因があると私は思っていたわけだ。
 
 その疑問を解決してくれた店を今日は紹介しよう。豊島区大塚の東京苑である。祐天寺の3号店などは予約がとれない店である。
 
 10年くらい前、東京では正泰苑がいっせいを風靡していた。そして、大阪では但馬屋がブレイクしかけていた。正泰苑は最高級和牛のディスカウントの走りの店で、すでに牛角で実現した焼肉の大衆化を一歩すすめ、焼肉高級店の大衆化に貢献した。但馬屋も同様であったが、この店のウリは一頭買いであった。
 
 但馬屋を見て、「焼き肉屋は部位を売るようになる」と一頭飼いで様々部位を提案することを予言した。ちなみに、最近では伝票一頭買いというシステムがあり、まず、一頭買いをして、食肉問屋と契約して必要のない部位は決められたグラム単価でひきとってもらうシステムが増えた。
 
shikumi40_02.jpg
 
 肉を知れば知るほど、どツボにはまる。知りすぎた人になるからだ。商売には、「よくわからないんだけど、おいしいよね」と言う食本来の機能の売り方をする店とお勉強いただきおいしさを自覚させる勉強売りという店がある。
 
 例えば、ワインバーが地方で繁盛しないのは、ワインが習慣化されていないことにある。習慣化されないなのであれば、お勉強してまでも飲もうと思わないし、習慣されているビールのが理屈なしにうまい。実際、安いは、誰が飲んでも「おいしいね」とは言わないだろう。ワインについてある程度知識がなければおしくは感じないものだ。これをお勉強いただく店と私は最近言っている。
 
 前フリが長くなったが、東京苑は理屈抜きでとにかくうまい。うんちくも書いていない。だから、お客様もどんな肉かはあまり考えないだろう。でも、秦オーナーは芝浦に足を運び、最高の和牛を選んでいることを私は知っている。
 
shikumi40_03.jpg
 
 その非常識さを表したのが、「10秒ロース」だ。片面5秒ずつ焼くという商品だ。もちろん最高の肉を使っている。その最高の肉を薄切りにして、甘めの濃いもみダレでもんである。しかも、すき焼きのように生たまごで食べる。
 
 焼肉のお勉強を重ねると厚い肉を塩味でかみしめて食べると“通”だが、東京苑では薄い濃いもみだれでもんだ最高肉をたまごをつけて食べる。これがうまい!かくして、肉肉しくて焼き肉店がつかみきれなかった女性客をつかみ独自のスタイルを築いたのだ。
 
 〆もユニークで海鮮石焼リゾットとプリンが定番。焼き肉屋の繁盛の秘訣は当たり前の中にあった。

 

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