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人事・労務

第65話 平成26年度の人事院勧告が出されました

「賃金の誤解」

賃金管理研究所 副所長 大槻幸雄
 
 既に報道されているように、7年ぶりに公務員の月給を0.27%引き上げ、ボーナスは0.15カ月プラスという内容での勧告となりました。
 公務員給与が民間給与より低かったことで今回の勧告となりましたが、ではどのくらい低かったのかを詳しく見てみると、公務員の給与が408,472円、民間給与が409,562円で、公務員の方が1090円低かったと報じられています。「えっ、民間の平均給与ってそんなに高かったの?」と思われる方もいるのではないでしょうか?
 実際に調査が行われた民間事業所は10,750カ所(従業員50人以上)、その内訳は、従業員規模100人未満のところは1971カ所のみ、3,000人以上が1,560カ所、1,000~2,999人が1,363カ所、500~999人が1,342カ所、100~499人が4,514カ所となっています。
 500人未満の事業所が42%、加重平均すれば、大手企業の給与水準に引き寄せられるであろうことが容易に予想されます。つまり、人事院勧告でいう民間給与というのは大企業の給与水準に近くなるような統計数値だということがわかります。
 厚生労働省が公表する毎月勤労統計調査によれば、5月の所定内給与(30人以上)の平均が265,663円ですから、この数値と比べても人事院勧告の民間給与はかなり高い基準、すなわち主要企業、上場企業クラスのものだと考えて良いでしょう。
 公務員の職務内容を考えたとき、どの規模の民間企業と比較すべきかは一概には言えませんが、実際に比較する対象が、中小企業も含めた民間企業全体の平均値よりはるかに高い水準にあることは明示すべきではないでしょうか?
 
 ところで今回の勧告では、若年層を中心に平均で約0.3%引き上げるものの、今後の運用に関しては、給与制度の総合的な見直しを行うべきであるとし、民間給与の低い地域との官民較差と全国の格差との率の差(2.18ポイント)を踏まえ、俸給表水準を平均2%引き下げるとしています。
 ちょっと分かりにくいところですが、「公務員給与は、大企業中心の民間給与の全国平均値よりは0.27%低いが、下位25%の県と比べると2.45%高いから、2%ほど引き下げましょう。」ということです。
 具体的には、下位等級の若手職員は下げずに中高年齢層を引き下げる、つまり賃金カーブを寝かせるように変更しようということのようです。勧告の中では、50歳代後半で最大4%の引き下げになるとしています。
 確かに民間給与も、採用相場が上昇基調にある一方で、定年後の65歳までの継続雇用と関係もあり、40~50歳代の賃金カーブは緩やかなものに修正される傾向にあります。公務員給与の総合的な見直しも、この流れに沿ったものと見ることができるでしょう。

 

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