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戦略・戦術

第204号 通販チャネルを強化する大手百貨店の経営戦略

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングは4 月、通販大手の千趣会との資本業務提携を行い、筆頭株主になることを発表した。
 「脱百貨店」を推進してきた近年のJ・フロントの小売業関連のM&A や業務提携をみると、2011 年には雑貨店「プラザ」の運営会社を持分法適用会社に、2012 年には「パルコ」を完全子会社に、2013 年は「ピーコックストア」を
イオンに売却、2014 年には楽天と共通ポイント事業で提携するなど、縮小する百貨店市場を見越して、積極的に通販関連企業を含めた異業種との連携に動いている。
 今回の千趣会との資本業務提携では、
 
  ①市場で存在感の大きい30~40 代の女性への訴求力
  ②商品開発にかかるコストの低減
  ③インターネット通販事業のテコ入れ
 
というJ・フロントの3 つの課題の解消に期待がかかっている。
 本年度、J・フロントが業界最高水準の利益額を稼いでいるのは、2012 年に子会社化したパルコの功績が大きく、M&Aによる効果が現われている。
 このことからも、通販業界の雄である千趣会に寄せる期待の大きさが窺える。
 ネットで受けた注文商品をリアル店舗の在庫からピックアップして、ユーザーに届けるといったオムニチャネル化を推し進める上でも、千趣会の持つ通販事業のノウハウは、大いに生かされるはずだ。
 近年では、セシールとディノスの合弁や、セブン&アイホールディングスのニッセン買収など、大手通販会社とのM&A が増加している。
 市場が縮小する百貨店や流通業の通販業界への接近は、これからも頻発するだろう。
 
 
 
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