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経済・株式・資産

第96話 中小企業の粉飾決算(2)

あなたの会社と資産を守る一手

銀行で融資を担当していたときに多くの企業の決算書をみていましたが、粉飾決算と思われる内容のものをみかけることは何度もありました。ただ、間違いなく粉飾と確信できるかというと、ほとんどが疑惑のレベルでした。
 
2017年に倒産した株式会社てるみくらぶの例でも、倒産前は債権者である銀行も粉飾決算に気づかず、破産申立後に代表者が粉飾の事実を認めたことから詐欺事件として逮捕されたわけです。
じっさいその会社側の人間の自白なくして粉飾決算を確信することは債権者である銀行でも難しいものです。さらに、決算に粉飾があったからといって訴訟をおこされたり、刑事事件になったりというケースは、中小企業ではそれほど多くはありません。
 
そして、さらにいえば、決算書の数字は条件が整い、経理に精通していれば適法にある程度の調整ができます。
 
粉飾決算による利益水増しの方法はいくつもありますが、多くは下記2つに集約できます。
 
1、在庫の水増しによる粉飾
 
2、架空売上の計上
 
これら以外にも経費の操作や、簿外負債といったやりかたもありますが、多くはこの2つのケースに該当します。
上記2つのケースの共通点を見ればわかるように資産の数字を操作することで粉飾を行うものです。
 
バランスシートで図示すれば下記の借方・灰色の部分の操作で行われるものです。
 
itte96_01.jpg
 
バランスシートの貸方・負債は債権者があることなので、その数字を操作した粉飾はばれやすく、どうしても計上された資産の額で調整したほうのがばれにくい粉飾になります。
 
ちなみに前記2つのケースで言えば、架空売上を計上した場合、その次の決算で回収されない売掛金がいつまでも残ってしまったりで、銀行側の審査過程で不良債権と認定され、ばっさりと資産から減額されるなど実質的に財務内容を良く見せようとした行為が裏目に出ることがあります。そういった意味からいえば「在庫」の数字の操作は、わかりずらい粉飾にあたります。
 
とはいっても、粉飾決算を行うことはリスクが高く、適法なかたちでの利益の調整をおこなったほうがいいに決まっています。
 
では、適法な利益の調整の具体的な例とはどんなものかというと、いくつかの前提条件が必要になります。
 
その一例として、資本関係のない、決算月の離れた会社がもう一社あって取引をしている場合などは、合法的な利益の調整はしやすくなります。
 
多くの会社で棚卸しは最終仕入原価法でおこなっていますが、これは同一商品なら最後に仕入れた単価で棚卸しをするというものです。販売先の要望によって多種のオーダーメード商品を製造する会社であれば、仕入品目も多く納期の関係から多少値段は高くとも急ぎで材料を仕入れるということがあります。この最後に仕入れた単価が通常1万円のところ15,000円だとしたら、すでにある在庫が多ければ多いほど利益は増加します。
 
材料A:最終仕入れ単価10,000円、在庫1,000個 棚卸金額10,000,000円
 
材料A:最終仕入れ単価15,000円、在庫1,000個 棚卸金額15,000,000円
 
つまり在庫の評価方法変更などという誰もが考えそうなことをしなくとも、その差額5,000,000円に対応する利益操作ができてしまうわけです。
 
また、以前も書いたように、納品を決算後に行い、決算前は半製品のままとすることで粉飾とは逆ですが利益の減少操作もできてしまいます(もちろん逆のことを行えば利益は増やせます)。
 
適法な範囲内での利益の操作でもかなりのことができます。粉飾決算はしないほうがよいです。

 

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