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製造業

第302号 空間をつくるとアイデアが生まれる

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

 【急所82】モノを捨てるとチエが出る。空間をつくるとアイデアが生まれる。(2)(188頁)

 「モノを捨てる」と簡単に言うが、汗水たらして稼いだお金を使って買ったモノを、そんなに簡単に捨てていいものだろうか?!
 
 多くの皆さんがこのように考えておられます。私も現場で「KZ法」(経営を変える5S)を実行している時に、その場にいらっしゃる方からかなり頻繁に言われます。
 
 その時の会話のいくつかをご紹介いたします。
 
 「捨てるったってそこいら辺に投げ捨てるわけにはいかない。捨てるのにもコストがかかるのを知っているのですか?」
 
 「そのまま捨てると産業廃棄物になってしまう。だからといって、こんなに大量のモノをいちいち分別するわけにはいかない」
 
 「会社の資産を勝手に捨てると税務署に怒られる」
 
 「今は確かに使わないが、もしかすると使う時が来るかもしれない」
 
などなど、たくさんの捨てられない理由があります。
 
 もちろん、必要なモノは捨てませんし、すぐにではなくても将来確実に使用の予定があるモノも捨てません。当たり前の判断です。捨てるのは使わないモノです。
 
 問題は、今使っていないモノに対するほとんどの人の判断が、「私は使わないけど、きっと私以外の誰かが使っているだろう…」とか、「将来にわたって絶対に使わないとはだれも言い切れない…」とか、「いつとは言えないが、いつか使うかもしれない…」といった、判断に「…」の感じであることです。
 
 もし会社の全員がこう思っていたとしたら、本当は全く要らないモノであっても何一つ捨てられません。これは冗談ではありません、本当に、全員がそう思っている会社はたくさんあるのです。
 
 ここで、なぜ私が「使わないモノは捨てるべきだ!」と言い続けているかをご説明いたします。それは、KZ法を実施して使わないモノを捨てた工場は、例外なく大きな空きスペースを手に入れて、そこから新しい仕事のやり方が始まっています。
 
 つまり私の結論は、「空きスペース = 将来の経営に対するポテンシャル」ということなのです。
 
 これから5年後に起きる大きな変化に対応するために、新しいお客様を獲得するとか、新しい商品を作るとか、新しいマーケットを開拓するといった場合、そのためのスペースが必ず必要になります。しかし、それをお金で買って手に入れるのであれば大きなリスクを伴いますが、自分の工場から掘り出すことができればパーフェクトにノーリスクです! 
 
 すなわち、「誰か使うかも…」とか、「いつか使うかも…」といった曖昧な判断で決断を後回しにしていては、将来の大変化に対する準備を放棄することになることになっているかもしれないということです。
 
 「目の前の一人一人の、小さなもったいない」を優先した結果が、「将来の会社存亡にかかわる大きなもったいない」を生むとしたら、やはり使わない不要なモノは思い切って捨ててワンフロアくらいをドカンと空けてほしいものです。
 
 次回は、なぜモノを捨てるとチエが出るのかについてお話しいたします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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