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- 第41回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:コマツ~
~海外進出の成功はアフターサービスが決め手!!~
世界第二位の建設機械メーカー・コマツが、自動車、家電など輸出産業が振るわない中でも「勝ち組」に挙げられています。
コマツ(株式会社小松製作所)は、日本の建設機械・重機械のメーカーで、 建設機械の日本でのシェアは1位。世界では2位に位置し、日本以外にも南北アメリカ、ヨーロッパ、CIS、中近東、アフリカ、東南アジア、オセアニア、中国にグループ企業を展開。
同社が日本で「勝ち組」なのは、自社の事業を内部で「勝ち組」「負け組」に分け、負け組の事業や商品からは撤退、勝ち組に特化しているからです。
このような構造改革(自社のポートフォリオを勝ち組で占める)により、同社は世界ナンバー1もしくはナンバー2の製品が全体の85%となり、円高下でも高収益を維持できたのです。
では同社が「勝ち組」になっているのは、外資企業のように「勝ち組」に特化する構造改革により、勝てる商品を軸にして海外への進出を行ったからでしょうか?
コマツの強さは、実は自社の事業を「勝ち組」に特化したことだけではなく、経営理念に沿って現場がベクトルを一つにし提供するチーム力による「アフターサービスのよさ」にあったのです。
~経営理念を行動レベルにすれば現場はチームになる!!~
コマツの経営方針とは、“「品質と信頼性」を追求し、企業価値を最大化すること” です。
同社は企業価値を最大化するために、経営理念として「コマツウェイ」(下述)を文言化することで経営方針を<コマツの価値観・強みを伝える行動レベルの様式>に置き換え現場に分かりやすく伝え、現場ベクトルを一つにしています。
~コマツウェイー行動様式(ものづくりの共通価値観)~
(1) 品質と信頼性の追求:
「ダントツを狙おう」「製品の出来は他人が決める」など
(2) 顧客重視:
「コマツは、お客様のパートナーなのです」「お客様の問題解決を最優先にしよう」など
(3) 源流管理:
「あるべき姿と現実の差を埋める努力をせよ」「ナゼナゼを5 回繰り返そう」など
(4) 現場主義:
「現場・現実・現物をよく見よう」「見える化しよう」など
(5) 方針展開:
「方針展開力は、コマツの強み」「現状が最善と考えないように」など
(6) ビジネスパートナーとの連携:
「Win-Win の関係」「代理店・協力企業群との連携を重視」など
(7) 人材育成・活力:
「人材育成は管理職の大事な仕事」「できない理由より可能にする方法を」など
コマツが顧客に支持される「アフターサービスのよさ」は、現場がコマツウェイによりベクトルを一つにすることで実現されているのです。
~アフターサービスの仕組み化が海外進出成功の秘訣!!~
コマツが顧客に支持される「アフターサービスのよさ」とは、一例を挙げると、故障が発生してブルドーザーが動かなくなるとコマツの側から「故障が起きたのではありませんか」と顧客に電話をかけることです。
同社は自社商品であるブルドーザーにGPSを使った顧客管理をいち早く導入。
この顧客管理の仕組みによって、コマツは顧客に期待を超えるアフターサービスを提供できるようになっているのですが、コマツが顧客を本当に魅了する「アフターサービスのよさ」とは、山間部で自社のブルドーザーが故障に際した場合でも、山間部に日本人と現地の人双方のサービスマンが、短時間で駆けつけられる人が動く仕組みにまで確立させている点です。
廉価で対抗する同業他社とコマツが差異化できるのは、つまり、自社商品を販売した後のアフターサービスが、経営理念の中で行動様式として明言され、現場がその価値観(ものづくりの共通価値観)を共有し、それが活かす仕組み(GPSを使った顧客管理を駆使し、人が機能する)になっているからなのです。
~海外進出は行動様式を浸透できるか?が不可欠!!~
同社の海外進出が成功している理由とは?
それはコマツウェイの浸透方法が常に現場仕様に改善されていることです。
コマツウェイは冊子にまとめられ全社員に配布され、その半分程度には必ず事例が付いています。
この事例は海外拠点向け冊子にも、同じ事例を入れているのですが、日本を主体に作られたコマツウェイが海外現地法人への押し付けにならないよう以下のように留意されています。
<海外拠点へのコマツウェイ浸透の手順>
1・コマツウェイというものを海外拠点の現地社員に知ってもらう
2・現地社員と海外現地法人の日本人駐在員で日本の事例など理解可能か?検証
3・現地語訳(英語では現地の現場スタッフに意味が通じないので)を作成
海外進出を成功させるには、
自社の経営理念を日本以外に浸透できるか?が最重要事項です。
コマツは、経営理念を行動様式化したコマツウェイによって日本人駐在員が現地スタッフや社員とベクトルが向かう方向を一つにしたのです。
コマツHP<コマツウェイ>