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第134回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方55「自分ではできていると思っているが、実は周りから見るとできていない方への対応の仕方」

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
 

 前回、「個々のスキルにばらつきがある場合の社内研修の仕方」についてお話しました。今回は「自分では出来ていると思っている方が、実は周りから見ると出来ていない方への対応の仕方」についてお話します。

 このケースでは、本人に自負心があるため伝えるのをひるんでしまうかも知れません。しかし会社全体を考えると、どの部署であれ一人一人は戦力であることが望ましいです。特にこれからは時代の流れとして確実に少子化に向かっているので「人材」という意味でも大きな問題です。
 
 自分では出来ていると思っている方への対応として3点あげます。

1. 「中堅社員のブラッシュアップ研修」のようなうたい文句で、対象となる方を含めて数人に声をかけ、その方に改善を望む項目を含めて数項目のシーンを撮影します。このとき数人・数項目がポイントです。対象となる方に、ターゲットは自分?と気づかれないためです。
撮影したものをすぐに見てもらい、本人の感想を求めます。長く研修をしている経験から断言できるのは、人は自分に対して厳しい感想を言います。そこが狙いです。本人が言葉に出して言ったことは、敢えて「~~を直すとよいということですね」と復唱し、本人の耳に入れて下さい。ターゲットの方以外の方も、振り返りをしてもらうことができるので一石二鳥です。万一周りから見ると出来ていないことが映像には写しにくいものであっても、映像に移る部分が修正されると写らない部分のことも心持ちと言う意味で変化が出てくる可能性があります。人は少しの刺激でも、それがきっかけになって成長することができます。私はそのような場面を何度も見てきています。

2. 「周りから見ると出来ていない方」に、社歴の浅い方の指導をお願いします。そのときの指導の依頼内容は、その方自身に直してほしいことを含めて数項目お願いします。教えるということは自分がよくわかっていないと上手く伝える言葉が出てきません。お手本の仕草を見せるときも事前の勉強が必要です。そのため、教えることは学ぶことに通じるのです。

3. コミュニケーションスキルの一つとして、「アサーション」という分野があります。アサーションは、相手の立場を尊重しながら自分の意見をしっかり伝えます。一方的に言い過ぎない、伝えたいことを我慢して言葉にしないではなく、主張はきちんとするが相手の気持ちを推し量った表現で伝えるのがアサーションです。言葉を変えると、「○○してください」と伝えるより「○○をお願いできますか」と伝えると、人の心としては「お願いできますか」と頼まれたのだから○○をしようと思うのです。同じ内容にしても表現の仕方を考えて伝えると、受け入れてもらえるかどうかに違いが出てきます。

「表現の仕方を考えて伝える」を活用して、周りから見ると出来ていない方への伝え方としては、「Aさん、実は『Aさんに言おうかどうか迷っている』ことがあります。聞いていただけますか。」と自分の気持ちを率直に言うのがよいです。3については、言葉が重要なので日々アンテナを張って言葉(職場での会話・映画やテレビなどで心に響いた会話など)の収集をしておくと役にたちます。コミュニケーションの基本にはお互いの信頼関係があるので、いずれにしても普段から笑顔で気持ちの良い挨拶はかかせません。相手から耳を傾けてもらえる自分作りを常に意識することが大切です。さらにアサーション権(誰もが持っている自己表現の権利)について触れておきます。
・アサーション権を使って伝えても必ずしも相手が納得するわけではなく、「ノー」と否定されることもある
・アサーション権を行使して自己主張するときは、相手がどのように感じるか考慮に入れる
・自分の役割や立場、相手の状況に応じて、アサーション権を行使しないほうが良い場合もある
 
以上、3点の対応を提案しました。これ以外の対応を考える上でのヒントとしていただければ、対応を解決する側の方々にとっても社内の人間関係を深めるチャンスになるでしょう。 
 
 
 
 
■松尾友子氏
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