■AI関連株
ここ1年半の米株式市場は「ChatGPT」の登場以来「AI関連株」が主導して上昇が続き、NYダウは5月16日に一時4万ドルを突破、翌日には終値でも4万ドルを突破して最高値を更新している。
「AI関連株」の先頭を切っているのが画像処理半導体(GPU)のエヌビディアで、5月22日に発表した2〜4月(第1四半期)決算は売上高が前期比18%増、前年比262%増の260億4,000万ドル、収益の大部分を担っているデータセンター部門は前期比23%増、前年比427%増の226億ドルと過去最高を記録した。
この四半期決算はGPUに対する需要が今後も堅調に推移し、AI関連銘柄のさらなる成長を促進するという確信を投資家に与え、エヌビディア株は昨年は3倍以上、今年に入っても2倍位上の値上がりをしている。
しかし、米株式市場には「AI関連株」以外でも大きく上昇している分野がある。
その一つが「肥満治療医薬品」で、世界年間売上高が2030年代初頭までに1,500億ドルに達するという予測も出ている。
■肥満症治療薬
アメリカだけでも1億人以上の肥満の人がおり、世界全体では10億人近くが肥満であると推定され、2030年までには、世界人口の半数が過体重または肥満になると予測されている。
この傾向を踏まえて、注射によって体重を減らすことができる新しい医薬品が脚光を浴び、デンマークの製薬会社ノボ・ノルディスクと米イーライ・リリーの株価が急騰している。
「ウゴービ」「オゼンピック」という薬を出しているノボ・ノルディスクの株価は年初から36%上昇し、時価総額は87%増加して6,000億ドルに達し、ヨーロッパで最も価値のある企業となった。
「ゼップバウンド」「マンジャロ」を出しているイーライリリーの株価も年初から38%上昇し、時価総額は昨年の2倍以上の7,700億ドルに達している。
これらの肥満治療薬は月1,000ドル以上と高価だが需要は旺盛で、昨年は供給が不足していて販売上限を設けており、製造が増えれば売上はまだまだ伸びると思われる。
また、臨床試験では心臓発作や腎臓病のリスクも低減できる可能性が示唆されており、アルツハイマー病についても同様な効果があるかもしれないと言われている。
現在、臨床試験中の肥満治療医薬品は80を超えているため、今後は価格競争も起きると思われ、世界で増加すると思われる肥満の人にとっては手に入りやすくなる。
株式市場では将来を見越した「成長株」が買われている。
======== DATA =========
●エヌビディア
https://www.nvidia.com/ja-jp/
●ノボノルディスク
https://www.novonordisk.com
●イーライ・リリー
https://www.lilly.com/jp/