部下をマネジメントするのも先輩をマネジメントするのも、基本的には同じことだ。
どちらも相手は人間なのだから、こちらの態度やものの言い方ひとつで、相手の態度も変えることができる。
相手が何かを求めてきたとき、「ノー」と一蹴するのは最もいけなお。どんな意見でも、聞くだけ聞いて否定するのではなく、「こうした方がいいだろう」と代替案を示すのだ。
自分の意見が否定されても、代替案がスムーズに進んでいけば、結果的に不満がくすぶらない。これが上手な部下マネジメントの秘訣なのだ。
私がジョンソン・エンド・ジョンソンにいたときのことだ。売上が伸び悩み、停滞している時期があった。
営業スタッフはあれこれ弁明に努める。私にしてみれば、腹の中では、「屁理屈を言う前に、訪問件数をもっと増やせ!」「足だけでなく、頭も使え!」と一喝したいところだ。
だが、頭ごなしにそんな言い方をしてしまえば、たちまちダメ上司の仲間入りをしてしまう。
部下は人間なのであり、プライドもあれば意地もある。一方的に命令されて、カチンとこないはずはないのだ。
そこで私は、代替案を考えることにした。
十分に準備体制を整えたうえで、直行直帰制度を導入したのだ。
ただ、「訪問回数を増やせ!」と命令するのではなく、実質的に訪問回数が増えるやり方を示す。このような方法のほうが、確実に結果につながるものだ。
部下が結果を出せば会社の業績は上がり、上司の。功績にもなる。お互い「WIN-WIN(共勝ち)」の関係が生まれる。