- ホーム
- 社長のメシの種 4.0
- 第19回 中国・自動運転車ベンチャー
シリコンバレーでEV(電気自動車)ベンチャー企業のByton(バイトン)、自動運転バス「アポロ(Apollo=阿波龍)」を開発している百度(バイドゥ)といった中国企業も視察した。
両社とも中国政府の支援を受けているベンチャー企業で、中国ではソフトバンク・ビジョン・ファンドのような役割を政府が行っているという印象を受けた。
Bytonは今年1月、米ラスベガスで開催された「CES」でSUVのコンセプトカー「M-Byte」を出展、この車の試験的生産ラインは4月1日に江蘇州南京工場完成し、今年末までに100台の量産試作車を製造するとしている。
その後の年間生産規模は30万台で、中国では2019年、欧米では2020年に量産車を発売すると発表した。
M-Byteは自動運転機能、インターネット通信機能を搭載するコネクテッドカーで、運転席と助手席の前方のダッシュボードにある49インチの横長大型ディスプレイが特徴だ。
また、今年6月中旬に上海で開かれた「CES ASIA」で発表された2台目の小型セダン「K-Byte」をシリコンバレーで見てきた。
私が見たのはドアも開かないモック車だったが、実際のK-Byteはレベル4、レベル5の自動運転車で、LiDAR(ライダー)、Radar(レーダー)、カメラなどのセンサーが搭載される予定だ。
LiDAR(Light Detection and Ranging)はレーザー光を使った物体検知と距離測定を行うセンサーで、その物体がどこにあるのか、その物体がどんな形状をしているのかまで検知できるため、道路周囲の建物やガードレールなどの形状まで織り込んだ「3次元地図」と照らし合わせて走行でき、自動運転車の実用には不可欠だ。
Bytonはこの他にも7人乗りのミニバンも発売する予定で、これらの3車種は同じプラットフォームを使っているという。
中国は2017年の新車販売台数が2,888万台と世界最大の自動車市場となっているが、急速にEV(電気自動車)化も進めており、中国政府の「自動車産業中長期発展規画」(2017年4月の)では、2020年の新エネルギー車(NEV)年間生産・販売台数が200万台、2025年はNEVが生産・販売に占める割合を20%以上とするという目標を示しているため、EV車の競争も激しくなっている。
百度の「Apollo」は、都市部の低速エリアを想定して設計されている電動ミニバスで、自動運転車向けソフトウェアをオープンソース化(Project Apollo=アポロ計画)していることが特徴だ。
中国の検索エンジンとして知られる百度だが、今は自動運転車の方が注目されており、アポロ計画も2017年4月の発足後1年余りで自動車メーカー、サプライヤー、半導体メーカーなどが100社以上が集まり、これにより百度は大量の運転データにアクセスできるようになった。
百度は日本でもソフトバンクグループのSBドライブと組んで、公道における自動運転バスの実用化を目指し、2019年初期までに実証実験用車両を含む10台を日本に持ち込む計画だ。
今後の自動車は「CASE」(Connected=コネクテッド、Autonomous=自動運転、Shared & Services=シェアリング、Electric=電動化)という新しい価値に注目が集まっているが、この傾向は世界中に広がっており、中国を始め世界中にベンチャー企業が生まれている。
======== DATA =========
●Byton
●百度(Baidu)
●Project Apollo(アポロ計画)