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- 第21号 創業社長のための全員営業の活用法【問題提起編】
第21回コラムからは、社長の属人性に焦点を当てて、全員営業を活用するポイントについてお話します。
まずは、創業社長からです。
会社で新しい施策を行う際、組織と社員を動かす影響力が最も高いのは、創業社長です。改めて言葉にするまでもなく、いまの会社と自分たちの仕事があるのは、創業社長がいたおかげというのを、個人差はあるにせよ、すべての社員が実感しています。
私が考えるに、社長の属性には、以下の5種類があります。
・創業社長
・後継者社長
・親族社長
・内部昇格社長
・外部招聘社長
各々に特徴があるため、その特徴の活かし方次第で、強みも弱みも出てきます。
中でも、創業社長の強みは、その影響力とも連動して傑出しています。会社経営に関わるすべての発言が、すべての社員から一目おかれるといっても過言ではありません。
創業社長が「これをやりたい」あるいは「これをやっていく」と決めたことには、社員が、仮に、それは多少間違っているところがあると思う程度では、面と向かっての否定はでてきません。
「社長がそれほど言うなら」と、すべての部門・全ての社員が、いったん表向きでは、それに従おうとする傾向があります。
ゆえに、本来ならば、創業社長が指示したことは、結果が上手くいくかどうかは別として、始動していく方が自然なはずですが、実際の現場では、そうなるとは限りません。
そうなってしまう大きな要因は、創業者が本来持っている強力な影響力が、創業社長にありがちな、たった一つの特徴のせいで、活かしきれていないためです。
その特徴とは、「言いっぱなし」という一言に集約されます。
発言力がありすぎるがゆえに、創業社長が口頭で指示したことは、多くの中小企業では、疑問や物言いが入ることなく伝達だけはされていきます。
それと裏腹に、あまりにスムーズに伝達されるがゆえに、頭では社長の発言は重要だと理解していても、意識の上ではさらりと流れてしまうことがあるのです。
さらに、追い打ちをかけるかのように、ほとんどの創業社長は、口頭で指示するだけに留める傾向があるため、時間が立つにつれ、多くの社員は、創業社長の指示したことが記憶から薄れていきます。
そういった状態が、何回かあるいは一定期間続くうちに、会社では創業社長の発言そのものは依然として重要視はされても、発言の内容そのものは深いところでは理解されないようになることがあります。
しかし、心配することはありません。創業社長が持っている元々の影響力は圧倒的に高いため、ほんの少しの変化を加えるだけでも、状況を変えるキッカケとしては充分だからです。
次回は、創業社長が持っている特徴に基づき、全員営業を活用して、会社に新しい施策を導入させ、ひいては会社の営業力をアップさせることにつながるヒントをお伝えします。
今回のポイント(〆の一言):
創業社長の言葉は、会社では「尊重される」。課題は「言いっぱなし」のクセにある。