社長が、自分の事業を繁栄発展させたいと強く願うなら、どんな事よりも威力を発揮するのは「事業発展計画書」を作り、発表し、社員と一緒になって実現を目指し、お客様開拓をすること──という信念をもつ弊会会長牟田に、事業発展計画書が発揮する力について語ってもらった。
■牟田 學(むた がく)について
日本経営合理化協会 会長
わが国屈指の社長専門コンサルタント。「社長業で一番大切なことは、業績を上げ続けること、その最強の武器こそ『事業発展計画書』である」と、主張。40余年、大中小、幾多の業種・業態を指導した実務体験に基づく独自の事業発展計画書は、これを導入した社長から「魔法の書」「奇跡の書」と呼ばれ、業績躍進の大きな原動力となっている。事業発展計画書を作成する主な社長塾だけでも「無門塾」「地球の会」「花伝の会」をはじめ15を数える。大学在学中より事業を興し、卒業後もその経営手腕を見込まれ、倒産寸前の会社を次々に再建。多くの財界人や専門家の勧めで、弱冠25歳で経営指導機関である日本経営合理化協会を設立、現在、会長。また自ら創業した5社の社長・会長・社主を兼務、まさに社長業「知行合一の人」である。
Q:経営計画書に関する書籍がたくさん出版されていますが、事業発展計画書の特徴とは何でしょうか?
事業発展計画書は、「理念(思想)」「戦略(方向性)」「戦術(戦い方)」「目標(数値化)」の4つの体系でできています。
この4つの体系は、私がさまざまな業種業態の会社を長期にわたって指導してきた中でまとめあげたものですが、
この4つの体系で構成しているという点が、他の計画書と大きく違うところです。
経営者は4つのシンプルな体系にそって書けばいいので、とてもわかりやすく、社員も理解しやすいと思います。
Q:事業発展計画書が「魔法の書」といわれる理由は何ですか?
弊会で長年講師を務めていただいた一倉定先生の経営計画書も、経営者から「魔法の書」と呼ばれていました。 私の事業発展計画書も、同じように「社員の心に火がついた、業績が大幅にアップした。これは魔法の書だ!」と絶賛してくださる方が大勢います。
経営者が「事業を伸ばして、みんなで幸福になろう」という強い想いで書かれた計画書は、社員を感動させ、ヤル気にさせるのです。
それは事業発展計画書に、社員とともに「将来こうなりたい」という希望があふれているからだと思います。
いうなれば、事業発展計画書は、社員の心を照らす太陽のような働きをするのです。
ですから、事業発展計画書には経営者の魂ともいうべき、熱い想いが込められていなければなりません。
たんなる数字の羅列であれば、全社一丸体勢とはなりません。
優れた事業発展計画書は、どれも経営者の強い想いが明確に出ていて、独自性があります。文章の上手い下手ではないのです。
Q:事業発展計画書を作ったあとの使い方を教えてください。
事業発展計画書を作成した会社すべてにお願いしているのは、事業発展計画書発表会を開くことです。そして、毎年やり続けることです。
一回や二回の発表会では、社長の考えが、社員に浸透しません。世の中は刻々と変化し、戦術や手の打ち方も、すぐに陳腐化する時代です。
だからこそ、毎年、新しい計画書で、新しい発表会を開くことが大事です。
何事も最初から完璧にできません。多少の不備があっても、継続することによって、「来年の事業発展計画書は、こう書き直そう」「発表会の式進行は、こうした方がいい」ということがわかってきます。そのたびに完成度が高まっていくのです。
また発表会を継続することで、社員にも、社長の考え方がハッキリと身につきます。要するに、「継続こそ力なり」で、全社員の意思統一と士気高揚がはかられるのです。
加えて、事業発展計画書を全員に浸透させるには、普段のフォローが大切です。読む、書く、唱和する、とにかく、社員が活用する機会を多くつくることです。
たとえば、20年間、朝礼で毎日毎日1ページずつ、全員で読み上げている会社もあります。
あるいは会議のときに計画書を持ち寄って、計画の進捗を確認したりと、各社それぞれに工夫されています。
長年続けると、やがてそれが当たり前の習慣となり、違和感なく溶け込むようになります。
Q:2017年に「事業発展計画書実例集」を出版しました。
はじめて事業発展計画書を作成される方は、他社がどういうふうに作っているのか、みなさん見てみたいとおっしゃいます。しかし、計画書は社外秘ですので、ふつうは見ることはできません。
今回、優れた事業発展計画書を作っておられる14社にお願いして、特別に社名などを伏せて、実例集として出版いたしました。作成するにあたって参考になると、経営者に喜ばれています。
(聞き手/岡田万里)
「愛読者通信」(2017年10月発行)掲載