今春、楽天とヤフーが、中国でのネット通販事業から相次いで撤退したことは記憶に新しい。
その後も、両社は足並みを揃えるかのように、日本市場の拡大と足場固めに向けて、楽天はスタイライフ(ファッションEC) やケンコーコム( 医薬品・健康食品EC) 等と、ヤフーはアスクル( オフィス用品EC)との提携を発表。矢継ぎ早に有力EC 企業と手を組み、新たな施策を打ち出している。
両社の戦略を読み取ると、各々違いはあるものの、“アマゾン”を意識したサービスの拡充であること は間違いない。
アマゾンは、ネット通販売上が5 年連続でトップとなり、事業者がアマゾンの中で販売できるモール形態の売上高を除いた、自社による通販売上高は6,500 億円( 推定)と、拡大の一途を辿っている。
商品ジャンルを拡大しながら成長してきたEC の巨人アマゾンが、消費者に支持される理由は、なんと 言っても物流の強みを活かした「配送料無料」や「当日お急ぎ便」だ。
モール運営に付随する既存サービスだけでは、更なる成長と優位性を見出せなくなった楽天とヤフーは、アマゾンのようにインフラ整備に資本を投入し、配送や決済サービスを拡充することで、消費者から選ばれ、リピート購入してもらえる“存在”となるために、多角的に布石を打っているのである。
日本人は、他国に比べてせっかちな性分で、時間短縮を求める傾向が強い。注文した商品は、すぐに でも手にしたいと思う消費者は少なくないだろう。
このように大手EC のサービスが進化すれば、それらはいずれ標準化される。ネットショップがリアル化し、通販と小売りがボーダレスに向かう中、我々も、お届け日数の短縮や配送料、決済サービスの向上に努めなければならない。