「美味しくなければ、代金は返金します」のフレーズを入れた食品通販広告のCPR 値は438 円。
私の顧問先企業における、今年上半期の最高実績の数字である。このようなキラーコピーを使った返金保障は、通販ではオーソドックスな販促手法の一つだ。
これは、通販発祥の地であるアメリカから始まったもので、当時、靴屋であったノードストロームが、無期限の返金保障を謳ったことに端を発している。
シアトルの一靴屋だったノードストロームは、今では全米最大の高級デパートに変貌したが、顧客サービスの徹底などに裏打ちされた企業理念は受け継がれ、現在も高品位のカスタマーサービスを提供する企業として知られている。
現在、この返金保障は、お試し商品や基幹商品の通販広告で使われるケースが多く、ネームバリュー のない企業が消費者に強くアピールする手段として定着。
とくに、通常は返品不可となる食品に関する返金保障は、迷う消費者の背中を押す大きなベネフィットとなっている。
この手法を、外食大手のワタミが、開業20 周年のキャンペーンとして、主力の居酒屋「和民」で試み ている。
お薦め料理を気に入らない来店客に全額払い戻すこのサービスは、9 月末まで全国の和民380 店で実施。産地直送の魚や自社農場産の野菜を使い、「料理の味や食の安全に自信があることをアピールする」とし、その返金率を0.2%以下と見込んでいる。
通販の返品率が1%以下であることを考えれば、この数字は妥当ラインだろう。
通販においても返金保障は、商品への“ 絶対的自信”の表れであり、「顧客第一主義」の証しでもある。
確実にレスポンスが高まるこの手法を使うためには、前述の食品通販企業やノードストローム、そして和民のように、まずこの“ 絶対的自信”の醸成から始めるべきである。