最近、顧問先企業から、DM発送時の顧客絞り込みについて、多くの質問を受けるようになった。これは、ネット顧客に対しても紙媒体でリピーター化を図っている通販企業が増えていること、そしてコスト削減に向けDM発送先を絞り込んで費用対効果を高めたいものの、その絞込みにより売上減となるリスクが高くなること等々、以前にも増して、顧客セグメントが難しくなっていること が主な理由である。
この「DM発送の最適化」については、大手通販企業も新たな取り組みにチャレンジしている。一例をあげると、ディノス・セシールでは、今年8月、顧客の購入商品に合わせた小冊子『Like it!』の配布をスタートさせている。これはECとカタログ・DMなどの紙媒体をリアルタイムで連携させたCRMの試みで、通販サイトでの購入履歴をAI(人工知能)で分析し、購入した商品の類似アイテムによる旬のコーディネート情報と、その着こなしを再現する自社商品の提案を、顧客別の内容に構成。その表紙には顧客名や過去に購入した商品も印刷して送付するというパーソナル化されたサービスである。第一弾では、売れ筋130点のアイテムを購入した約2万人の中から1万人に『Like it!』を配布し、未配布の残り1万人と比較した効果検証を行うという。
この取り組みから、我々中小通販企業が学ぶべきことは、 まずは顧客管理システムの抜本的な見直しである。ここ数年、売上が伸びない企業は、このあたりがボトルネックになっているケースが多い。もちろんRFMよる分析により顧客セグメントはなされているだろうが、今後は、ECと紙媒体を連携させた環境で、顧客管理システムを運用することが必須となる。また、よりパーソナル化されたDM発送において、収益面の向上を図るためには、AIの活用が当たり前という時代がやってくる。このようなツールを活用しなければ通販事業が立ち行かなくなる未来が、すぐそこまで来ているのである。