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人事・労務

第10講 WILLとMUSTをCANに変える:配属に不満がある社員とどう関わるか

顧客・社員・社会から支持される「ウェルビーイング経営入門」

7 MUSTをCANに変えるステップ―まずはズレを確認―

 MUST不安と向き合う際には、まずは、会社が求める役割と、本人が思っているMUSTの間にずれがないかを確認しましょう。よくあるズレとしては
・本人が自分の役割を過大にとらえている
・そもそもその役割が何をするかよくわかってない
・役割を理解しているが、会社にとっての役割の重要性や意味が伝わっていない
・重要性や意味が分かっても、実際に何をしていいかわからず、不安がある
などの可能性があります。

 なお、こうしたズレがあることは当然です。従業員と経営者では目線が全く異なっています。現時点で経営者の地位にある人も、そのむかし、一従業員だった時に見えていた景色と、今見える景色ではまったく違っていることでしょう。会社の伝えたい意図や仕事の意味を、個々の従業員に理解してもらうことはとても難しいことです。まずは、そこにズレがあるという前提に立ち、そのズレを解消するという目的をもって、率直に従業員の話を聴き、こちらの意図ももう一言添えて伝えてみましょう。何事も情報共有が第一です。

 

8 能力やリソースの提供

 ズレが見えてきたとしたら、そのズレを解消する方策を探ります。具体的には、MUSTをCANに変えるために、いったい何が必要なのかを一緒に考えるのです。例えば、必要な能力や技術的な支援、ツール提供などが役に立つはずです。経理として必要なスキルもあれば、部署メンバーに気軽に質問できるネットワークや、失敗できる仕組みなども重要です。とにかく初期段階からコミュニケーションをしっかりとって、MUST不安を小さくするよう心がけます。

 

9 小さな成功体験を

 そして、MUSTからCANへのステップで欠かせないのが成功体験です。これは、
・小さな仕事を任せてみて成功体験を得てもらう
・成功したときに、それがたとえ小さな事であっても、思い切りほめる
・任せた側も仲間も、共に本気で喜ぶ
ことを含みます。MUSTからCANへの変化を重視し、任せた側もチーム全体で、MUSTに取り組んだ本人の一歩を共に喜びましょう。

 なお、仮に失敗した際には、やってみたこと自体は大いに承認し、そのうえで、フィードバックとして伸びしろを伝えていけばOKです。人の成長速度はそれぞれで、不安を取り除くだけで人は成長すると信じ、MUST状態からの脱却を支援しましょう。次第にCANが増えていくことは、本人にとっても周りにとっても、純粋な喜びです。

 

10 マネジメント側の失敗を覚悟するマインドセットは重要

 MUSTからCANへの変化で最も大事なものは、「失敗は成長の機会」だというマネジメントする側の腹落ちです。いわば、失敗は、本当に良いことだと覚悟するのです。この覚悟がないと、メンバーが失敗したときに、責めて怒ったり、または、部下の失敗を自分の失敗と感じて負の感情を感じ、次に任せることができなくなります。逆に、「失敗は成長の機会」だと、心底思って関わっていると、まずはやってみたことを褒める言葉や、失敗から何を得られるか、共に学ぶ姿勢が生まれ、次のチャンスにつなげられます。この視点は、上司自身も成長させることになります。

 なお、どんな場面でも、失敗を学びに変える過程は重要ですが、特に、MUST感が強い相手に対しては、失敗を責めずに成長の機会だという関りを徹底しましょう。もともと苦手で不本意なことに取り組んでいるわけですから、失敗を責め立てると、MUSTをCANに変えるためにやってきた努力が無に帰してしまう可能性もあります。それは個人にとっても、マネジメント側にとっても、そして、会社にとってももったいない話です。「失敗は成長の機会である。」を忘れず、大きな覚悟をもって臨みましょう。

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