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人事・労務

第19話 責任を担える正社員を育てる

「賃金の誤解」

 より良い商品と最善のサービスを滞ることなく適正な価格で提供したい。
 
 それは飽くなき業務改革、コスト削減努力の積み重ねであり、多くの企業が人件費コストを圧縮する目的からパートタイマー、非正規従業員の戦力化に努め、雇用形態の多様化を進めました。
 
 「労働の対価として決められた給料を払う」仕事給の立場を取れば、同じ仕事を続ける限り、給料は同額払いということになります。これが同一労働同一賃金の原則であり、米国流のシングルレート職務給の考え方です。日本でもアルバイト、臨時従業員、嘱託社員の給料はこの仕事給といえます。
 
 日々単純仕事を言われたとおりに繰り返えす程度であれば、このシングルレートの仕事給で問題ないでしょう。しかし、たとえパートだとしても、何年勤めても、評価もされず、給料が上がらないとなれば不満が残るし、働きぶりはすぐにマンネリ化してしまいます。米国流の仕事給では「やる気」および「向上心」と密接に結びつく仕事ぶり(仕事品質の向上)に対する勤務評価と報われたと実感できる賞与や給料の仕組みが存在しないことに問題点がありました。
 
 しかし雇用形態の多様化は必然であり、パートやアルバイトの活用が職場の鍵だとすれば、勤務成績の評価と報われたと実感できる報酬の仕組みは必要であり、日々職場を束ねる正規従業員(以後は正社員と言う)の役割はさらに重要となってきます。自分の頭で考え、創意工夫を怠らない、責任ある職位を担える正社員をひとりでも多く育てねばなりません。
 
 「うちの従業員には、やる気も向上心も感じられない」と愚痴をこぼす経営者がおられました。しかし実際に話を伺うと、問題は従業員が怠けているということではなく、給料分という言葉どおり、クビにならずにすむ程度の役割しか果たさず、それ以上の努力をしようとしないということでした。
 
 なぜ、それ以上の努力をしようとしないのかと言うと「もっと良い仕事がした。評価してほしいと思う気持」が希薄だからであり、原因はきちんと個々の社員の勤務成績を評価し、報いていく賞与配分と向上心を高める給与改定の仕組みが会社の体制として整えられていないからでした。
 
 やる気ある、向上心の強い社員を雇用し、ぞんぶんに働いてもらおうと思えば、その責任の重さ、仕事の難しさに相応しい給料が必要であり、期待通りの仕事ぶり(仕事品質の向上)であった時には褒め、その仕事の成果に相応しい賞与配分と実力昇給の仕組みを賃金制度として整え、社員のモチベーションを維持し続けねばなりません。
 
 それこそが日本ならではの良好な労使関係の原点であり、この会社こそ自分の人生を託し、ともに成長できる法人だと確信できる処遇の仕組みなのです。

 

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