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社長業

第21回 どんな状況の中でも未来への手を打つ

繁栄への着眼点 牟田太陽


※本コラムは2020年12月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

この繁栄への着眼点、私が書き始めて2年が経つ。毎月専用ファイルにファイリングをしているが、何かの時に会長の繁栄への着眼点ファイルを持ってみた。平成18年から平成29年3月まで綴じこんであった。これ以上一枚とも入らないくらいのパンパンに綴じこんであるファイルは想像以上に重かった。最後のタイトルは「『時』が解決する」というものだった。深いと思う。
 私のファイルを同じ厚みにしようとすると、私は60歳になるだろう。その時に「『時』が解決する」というテーマで書いてみたい。書ける自分でありたいと強く思う。

 どんな状況の中でも目標を遠くに掲げてほしい。
 前号でも書いたが、新事業でも、新商品でも、成功の秘訣は何かと訊かれたら「情熱(パッション)です」と私は答える。人ない、モノない、カネない、中小企業で新事業、新商品を作るとき社長の情熱の熱量が成否を決める。

 もっと具体的にいえば、社長は「思考」「百計」「躬行」三つを持たなくてはいけない。

 「思考」とは、文字通り、思うことが先で、考えることが必ず後にくる。思うことは心で、そこから頭で考える。それは、いい場合もあるし、悪い場合もある。

 大阪市民に大阪都構想の是非を問う二度目の住民投票は僅差で否決された。何かを改革をするにあたって、行動なくして変わるわけがない。しかし、大阪市民は変わらないことを選んだ。

 心では皆「良くしたい」「良くなりたい」と思っているはずだ。それなのに頭で余計なことを考えてしまうからブレーキがかかる。
 これは政でも会社でも同じではないか。「会社を良くしたい」とは誰もが心の中で思うが、「いまだからこそ未来への投資を」と考える人もいれば、「こんなときにおカネを使って」と考え反対する者もいる。社長であるならば、人から笑われるくらい遠い未来を向いていなければいけない。
 社長は社内の反対に勝る、「激しくて強い、出来るという思い込み」が無ければ絶対に新事業、新商品を成功させることは出来ない。

 「百計」とは、計略、謀のことである。ライバルの活動を全て意識して、緻密に対策を立てる。ライバルと自社との比較を常に考えなければいけない。
 時の要素、エリアの要素、人の要素、商品・サービスの要素、売り方の要素、ライバルに勝つためには、敵を知って己を知ることが大切だ。
 創業時にはライバルは少数でも、時と共にライバルは増え続け、戦いはお互いに巧妙になってくる。ライバルに勝つためには、この五つの要素を常にライバルより先に進化させていかなければいけない。

 「躬行」とは実行することである。最新の売り方を常に注意しておかなければならない。
 「販売方法は五つしかない」とは牟田 學が五十年言い続けたことだ。必ず聴いたことがあるはずだ。訪問販売、店頭販売、媒体販売、展示販売、配置販売だ。このうち自社はいくつ販売方法をとっているのか。コロナ禍でどの販売方法が苦戦していて、どの販売方法が影響がないのか一目瞭然だ。「増客が難しい状況だ」とは言うが、これまた頭で余計なことを考えているからではないか。違う売り方をすれば、そこには必ず新しいお客様が存在する。実行することでしか状況は変わらない。

 2021年は全てが不透明な年となる。アメリカの大統領選の着地が日本企業に与える影響、オリンピックは開催するのか、日本経済の行方、法律の改定、新しい技術の登場…チャンスの時も、危機の時も社長はどんな状況の中でも未来への手を果敢に打ってほしい。

※本コラムは2020年12月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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第20回 新事業は社長の情熱が成功を決める前のページ

第22回 瞬発力が会社の生死を分ける次のページ

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