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社長業

第45回 社長の「大きすぎる夢」に人はついてくる

繁栄への着眼点 牟田太陽

※本コラムは2023年2月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 最近、「夢を持たない若者が増えている」という記事をよく見かける。「ドリハラ」などという言葉さえ目にしたほどだ。「ドリハラ」とはドリーム・ハラスメントの略である。「君の夢は何だ」などと訊くことさえハラスメントと呼ばれるようになったのかと、一瞬、我が目を疑った。

 しかし、実はそんなことは今に始まったことではない。

 中村天風先生は、学生に対して「君は将来何になるの」とよく訊いたそうだ。それに対して明快な夢を答えられる学生は少なかったという。

 今も昔も同じなのだ。そういった学生に対して中村天風先生は、「青年の間は、心の中に『向上の希望』を持って歩かなければだめだ」と言った。「偉大な発明、偉大な発見、あらゆる全てのこの地球上における人類の進化、向上は、夢を持った人間がこれを現実にし、そしてその結果、人間の世界に良い方向を与えているじゃないか。何も考えずにただただ生きていてはダメだ」と学生たちに強く言い放ったと聞く。全くその通りだ。

 夢は簡単には見つからない。だから夢なのだ。自分が人生を賭けてでもやるべきこと、それを見つけることが人生そのものといっていい。どうせなら人から笑われるくらいの夢を持ったほうがいい。「ドリハラ」などと言う人は、夢を見つけられないことを他人のせいにしていないか。

 スティーブ・ジョブスは、「世界を変えるような新商品を作る」と言った。イーロン・マスクは、「人類を火星に移住させる」と言った。本田宗一郎は、「世界一の車屋になる」と言った。

 無門塾のお客様でも、10年先、20年先を見据え、熱く夢を語る社長が大勢いる。

 岩手県一関市にある株式会社アークの橋本社長は、「引退したらワインを造りたい」と言っていた。「引退したら」と聞いたのでまだまだ先のことかと思っていたが、数年前にブドウの苗を植えた。「早いのでは」と言う私に橋本社長は、「太陽さん、ブドウの苗が育つには10年かかるんです。そこからが本当のワイン造りの始まりです」と爽やかに笑った。

 滋賀県蒲生郡竜王町にある株式会社 木の家専門店 谷口工務店の谷口社長は、「地域のために」と本社の周りの土地を借り、MOVスクエアという人が集まる空間を演出している。

 かつて東海道で一番栄えた町と言われる大津の宿場町、「そこがシャッター街になっているのが悔しい」と相談に来た。膨大過ぎる構想に誰もが反対した。それでも谷口社長の決心は揺るがなかった。数年前に大津を立て直そうと大津百町という新事業を始めた。

 コロナ禍に入り大変ではあるが、その夢は多くの人の心を動かした。この人材難の時代でも人が集まっている。

 福島県郡山市にあるエリート株式会社の金田社長は、事業発展計画書を作成する際に、「郡山駅前を六本木のような活気がある街にしたい」と郡山六本木構想などと大きい夢を掲げた。社員たちにより具体的にヴィジュアルで訴えたいと、それをイラストにするようにと頑張っている。

 どの会社も驚くほど目線が遠い。

 今一度いうが、夢は簡単には見つからない。だから夢なのだ。夢を見つけられないことを他人のせいにしてはいけない。自分が人生を賭けてでもやるべきこと、それを見つけることが人生そのものといっていい。その大望は大きければ大きいほど成就する。

※本コラムは2023年2月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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