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マネジメント

第四十二話 「適地、適作」「適材、適所」(農業法人みずほ)

社長の口ぐせ経営哲学

わが国の食料自給率(カロリーベース)は39%、昨年度から1ポイント下がっている。
「自給率を上げて自立した農業国になろう」という呼びかけはあるものの、なかなか進まないのが現実。
農業ビジネスへの関心は急激に上昇している。
そういう中で、農業を続けられる農家に育成し、支援する、勢いのある農業法人が注目されている。
その(株)農業法人 みずほ(本社・茨城県つくば市柳橋)は農産物直売所の運営を主な事業としている。


17年前につくられた農産物直売所「みずほの村市場」はユーザーによる会員制(現在、1万1000人)をとり、
年間の来店数は26万人(レジ通過)、年間1割程度増え続けている。
商圏は40キロと広く、遠くからの利用者も多い。
設立の趣旨は「食える農業」「稼げる農業」を目指し、独自の運営を展開してい る。


農業が衰退した原因の一つが農家が農業で生計を立てられなくなってしまったからだ。
(株)農業法人みずほは「農家が再生産できる適切な価格で販売する」と いうことを徹底している。
農家が自ら価格を設定して、農業を続けられるようにサポートしているのである。
直売所に加入しているみずほの生産者(農家)が提 供する価格を基準に、
次の農家は前者の価格より高めに設定する事が決まっている。
安売りをやめ、価格設定に一つの縛りを設けている。品質向上の競争を生むような仕掛けになっている。


着実に農家の収益は上がっている。安売り競争ではなく、品質競争を農家が積極的に手掛けるようになった。
農家は品質を向上させるために技術の向上にも力を 入れるようになってきた。
また、品質を高める仕組みとして、ノルマ制度を導入している。
農家の直売所の年間販売額を決め、基準を上回れば報奨金、下回ると 罰金を支払うという制度である。
これは農家自らが品質のいいものをつくり、売れるようなモノづくりをするための仕組みである。


同社を率いる長谷川久夫氏(代表取締役社長)は「適地、適作」「適材、適所」を口ぐせに持つ。
農作物を生産するという点でも「適地、適作」が重要だと言い切る。
どういう土地に、どういう農産物を作るか、農家の知恵の出し方次第である。
「適材、適所」は社員の能力、特性を見抜いて、長所を伸ばすようにしている。
無理な仕事を与えないで、“適材適所”の視点で、向いている仕事を伸び伸びとやってもらう、という人材観である。


同社は、「稼げる農家を育てる直売所」を全国的に展開する計画がある。
「再生産できる適切な価格設定で儲かる農家の育成」を掲げて、蓄積したノウハウを儲からない直売所、
稼げない農家へのアドバイス、カウンセリングを進めていく方向である。
農業生産者から農業経営者になるためのサポートビジネスの台頭である。
新しいビジネスチャンスが農業ビジネスの世界に起こりつつある。

 

                                                             上妻英夫

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