menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

第八十五話 「ま、いいか」(木村飲料株式会社)

社長の口ぐせ経営哲学

大手を追わず、独自の発想、独創的な商品開発で業績を伸ばしている中堅飲料メーカーの木村飲料株式会社が注目を集めている。カレー味の「カレーラムネ」からお茶を使ったコーラ「しずおかコーラ」まで、数々のユニーク商品を発売し、ヒットを飛ばしている炭酸飲料の会社だ。同社は昭和28年に創業以来、着実に業績を伸ばし、微増だが、売上げは右肩上がりを続けている。


約30年前は静岡県内にサイダー製造業者は30数社あったが、唯一、生き残っている会社である。業界の中では「中小企業で新しいことにチャレンジする会社」「大手の真似でなく、独自の商品開発で成長している会社」という位置づけで、ユニークでアイデア商品に関連した話題を提供している会社として、マスコミにも頻繁に登場する認知度の高い企業である。


同社の特徴はいくつかあるが、最も目立つのが商品開発力とユニークなネーミングを世の中に送り出していることである。同社で一番売れている商品といえば、2007年春に、売り出した「カレーラムネ」が約250万本、発売1年足らずの「しずおかコーラ」は80万本である。


ヒットを続けている「カレーラムネ」は、開発当初、大半の社員が「不味くて、売れない」と言っていた商品である。「こんなインパクトのあるものが他にあるか」ということで、木村英文社長(55歳)の独断で製造に踏み切った。ところが、蓋を開けてみると、売れすぎて生産が間に合わないという状態が続いた。その時、木村社長は学んだ。「変なジュースでもいいんだ」と気づいた。大手の真似でなく、大手が通らない道を通らなければ中小企業は生き残れない、と実感した。


次から次にヒットを飛ばす商品開発力はどこに秘密があるのか。「値段でアピールしないこと。失敗を恐れずに挑戦することです。飲んで楽しい商品を目指し、全社員でアイデアを出し合っています。へそ曲がり的なアイデアは私の思いつきです。アイデアは常に出し合っていますが、10年前のアイデアがタイミングで製品になることもあります」(木村社長)


仕事で挑戦することを進めているが、社員に対して「お客様第一に考えてください」と常に呼びかけている。お客の満足度が高ければ、売上げは伸びるという。木村社長の口ぐせは「ま、いいか」で、「致命傷でなければ、少しくらいの失敗は薬です」という考えだ。型にはまらない、脱常識の商品開発で企業の活力を維持しようという狙いである。


 

                                                    上妻英夫

第八十四話 「人のために生きよ」(株式会社ノバレーゼ)前のページ

第八十六話 「元気で笑顔、一生懸命」(株式会社ビッグミート)次のページ

関連記事

  1. 第六十六話 「卒は将の顔色を見て動く」(東洋環境分析センター)

  2. 第三十六話 時間を守れ(なかんだかり)

  3. 第二十二話 なぜを追求する精神を持て(センサップ)

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    第214回 時流に合わなくなっていないか?
  2. マネジメント

    第十一話 正直な商売をしろ!(殿村食品)
  3. 社長業

    第31回 「たった一言」の重み
  4. 経済・株式・資産

    第117話 受給額が15年連続アップの中国年金事情
  5. マネジメント

    第181回 予測できる未来を増やす
keyboard_arrow_up