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社長業

Vol.145 「我社の変化、革新をスピードアップさせる」

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 先月、地方の中核都市で、3つの業態を展開しておられる社長と今後の事業の方向性について話し合いを持ち、新しい取り組みをスタートさせた。
 
 大変有名な企業とは言っても、リーマン後の影響はぬぐいがたく、今3月期は、厳しい決算を余儀なくされた。しかし売上約25億円で、何とか黒字を確保しているのは、さすがである。
 
 環境分析とともに原因究明になるわけだが、社長としては昨今の世界不況原因に、どうしても犯人探しが行ってしまう。
 
 ただ、業態別、立地別に売上年計表と、損益年計を出してみると、2007年より、徐々にではあるが、低下傾向が読み取れ、リーマンがダメ押しをした形にグラフがなっている。
 
 確かにこの2年弱は、ハッキリ影響は読み取れるが、本質的な原因は、それ以前から想定され、ちょうど「その裏付け」をとっているところであり、それと並行して、新業態のプロトタイプづくりのプロジェクトをスタートさせた。
 
 まず、立地によってかなりの業績格差が出てることと、一業態では、今後の回復がなかなか見込めないために、2年以内の撤退と新業態の立ち上げを社長の決断で即決した。あと、新規のお客様の導入方針などを決め、大急ぎで進めないと資金問題に発展する事を確認して別れた。
 
 先週も定時報告が、メールで届いており、進み具合が見てとれる。
 

 現場は、この時、抵抗勢力になるのが一般的である。説得するのも大切だが、本人たちが「なるほど!」と納得して、その気にならなければ革新はスピードアップしない。
 
1、状況が悪化していることを、数字とグラフで見せる。
 
2、他店を含め、いろんな人気スポットを見て、体で感じさせる。
 
3、仕入先が代表的であるが、新しい取引先と付き合わせる。
 
4、儲からなくなった事業の社員の犯人探しをしない。
 
5、エースを投入し、専任で社長と一緒に新プロジェクトに取り組ませる。
 
 大きな出血をしている店や商品、お客様があれば、取り合えずスクラップする。
 

 社長が「捨てる決断」をしないことには、余剰の人や時間、金も生まれない。中小企業であるから、大手と違って、常時、開発要員がいて準備しているわけではない。
 
 社内でライン、現場を持っていないのは、実際の話し「社長だけである」。
 
メーカーの開発部でも、実際に多くの時間を、保守メンテやクレームに駆り出されたり、2~3つの業務を兼務しているところが多い。
 
 付き合う人間も現業の延長線がほとんどであり、新しい人や、将来どうなるかまだ見えないテーマでは、長く引っ張れない。ここが、大手と決定的に違ってくる。
 

 立地や購買スタイル、Web環境、価値観、中国からの観光客大量来日、JR駅中の大繁盛などトレンド変化は待ってはくれない。
 
 社長の基本的スタンスは、「我社を陳腐化させて、儲からなくするのは、社長である俺がやる」でなければならない。
 
(2010年5月12日配信)

 

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