日々、書店巡りをする中、最近よく目に付くのが、徳川家康関連の本です。
一体、何冊並んでいることか?
明らかに、大河ドラマ『どうする家康』の影響ですが、個人的にはいい傾向かな、と思っています。
264年も続く安定時代の礎を築いた実績がありながらも、正直、印象が薄いですから。
織田信長や豊臣秀吉のように、誰でも語れるようなエピソードが思いつきません。
人気面やカリスマ性でも、大きく水をあけられている感があります。
しかし、海外では逆に家康人気が高いようです。
英国BBCのテレビ番組『ウォリアーズ 歴史を動かした男たち』では、
ナポレオンらと並ぶ六人の覇者の一人として、家康が取り上げられています。
番組内では、「シーザーやナポレオンに匹敵する人物」とまでも!
海外では人物像よりも、実績が高い評価につながっている模様。
改めて、徳川家康とは一体どんな人物なのでしょうか?
書店の店頭にズラリと並ぶ家康関連本の中から選んだのが、今回紹介する
『家康の天下取り』(著:加来耕三)
です。
著者の加来耕三氏は、約400冊もの著作を持つ、ベテラン作家で歴史家。
先日の全国経営者セミナーにも、《歴史の偉人に学ぶ「人を動かす技術」》というテーマで登壇。
記憶に新しいことと思います。
加来氏の作家生活40周年を記念して、代表作である本書を、新たに刊行。
知られざる家康の実像、戦略やリーダーシップに迫ります。
まず、加来氏は家康を「小心者で、臆病な一方で、短気で激越家。典型的
な日本人」と評しています。
その上で、「家康の凄さは、●●しないところ」と語る。
この人物像に、長期天下を築いた秘密が!?
信長や秀吉は、誰にも真似できないような存在で、いわばカリスマ創業社長のよう。
一方、家康にはそこまでのものは感じられず、
持って生まれた能力でも突出しているものはないように思われます。
にも関わらず、二人には成し得なかった代々続く長期政権を築くことができた。
もちろん、理由が、ないわけがありません。
本書では、関ケ原の戦いを中心に、小牧・長久手の戦いなどから、
家康のリアルな人物像に迫るとともに、リーダーとしての在り方も見えてきます。
リーダー論、組織論の観点からも、学び多き一冊!
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『J.S. バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)』(演奏:堤剛)
です。
“音楽の父”、J.S. バッハ。
代々の音楽一家に生まれ、息子たちを優れた音楽家に育て上げました。
その崇高な音楽は、年代も国境も超えて、受け継がれています。
ある意味、徳川家康に重なる部分があるように、ぼくには思えます。
そして、チェロの巨匠パブロ・カザルスらからバッハ演奏の真髄を受け継いでいるのが、
日本の誇る名チェリスト・堤剛。これぞ名演!
本書と合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。