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第89回 吹上温泉(北海道) 『北の国から』であの女優も浸かった野天風呂

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■山の露天で朝風呂

 畑がまるでパッチワークのように見える丘陵と、ラベンダーなどの花が咲き乱れる風景が美しい美瑛から、標高2077mの活火山「十勝岳」に向かう。原生林の山道を縫うように車で上がっていくと吹上温泉がある。


 吹上温泉の一軒宿「白銀荘」のベッドで朝を迎えた。白銀荘は、近代的な設備を備える町営温泉施設。男女計8つの湯船があり、水着で入れる混浴の温泉プールも備えている。大自然の中にある施設とは思えないほどの充実した設備で、自炊できる宿泊施設も備えている。近年は「サウナの聖地」としても注目を集めている。


 普段の温泉旅では、チェックアウトぎりぎりまで滞在することが多いが、今回は朝7時半に目覚めると、すばやく準備をすませて8時にチェックアウト。実は、朝風呂が目的である。


 「白銀荘」から徒歩5分、車で1分のところに、無料で入浴できる「吹上露天の湯」がある。朝早くやって来たのは、朝風呂を楽しむという理由もあるが、混雑を避けるためでもある。実は、ここは北海道でも屈指の人気を誇る露天風呂だからだ。


 ドラマ『北の国から’95秘密』で田中邦衛と宮沢りえが混浴して以来、夏のベストシーズンや休日は入浴客でごった返すようになった。

 

■原生林を包む幻想的な朝霧

 十勝岳方面に車を進めると、右手に駐車スペースがある。20台近くは停められるだろうか。ここからは徒歩で露天風呂へと向かう。坂道を下りていくと、露天風呂が見えてきた。「吹上露天の湯」は、大小の湯船が1つずつあるが、小さいほうの湯船である。

 渓谷にせり出すようにつくられた湯船のロケーションに、一気にテンションが上がる。さらに坂を下っていくと、大きいほうの湯船が姿をあらわす。


 すでに先客がおり、老夫婦1組とおじさんの計3人が縁の岩に腰かけていた。大きいほうの湯船も、切り立った断崖の上につくられた岩づくりの露天風呂。20人近くは一緒に入れそうだ。


 露天風呂は混浴である。脱衣所はなく、湯船の近くに板が敷いてあるのみ。女性には少々ハードルが高いが、水着やタオル巻きはOKである。


 原生林に囲まれた開放感は、野趣あふれる露天風呂が多い北海道のなかでもトップクラス。幻想的な朝霧が、さらに雰囲気を盛り上げてくれる。


 泉質は、酸性‐ナトリウム・カルシウム‐塩化物泉。無色透明の湯は、湯の花が舞う本格派。もちろん、100%源泉かけ流しだ。頭上の岩壁から湯がしみ出してきている。


 ちなみに、『北の国から』で放映されたときは乳白色の湯だったが、撮影のために白い入浴剤を投入したのだとか。泉温は47℃なので、少し熱め。露天風呂で冷めやすいとはいえ、入浴客は皆、最初は「熱い、熱い」と騒ぐ温度だ。


 しかし、一度浸かってしまえば、心身ともにキリリと引き締まる感覚が心地よい。みるみる目が覚める。朝風呂には、もってこいの湯である。

■噴火がきっかけで復活

 もともと吹上温泉は1897年に発見され、湯治場として賑わったが、泉温が下がってしまい、廃湯となっていた。この露天風呂は今は亡き旅館の一部だったという。その後は、登山客や地元の人のみが知る穴場だったが、1988年の十勝岳噴火で泉温が再び上昇。町が露天風呂を整備したところ、秘湯ブームにも乗り、現在の人気につながったのだという。


 このようなエピソードを聞くと、温泉は天地の恵みであることを実感させられる。近年では、温泉は地中深く掘るのが当たり前と思われているが、本来の温泉は、自然のリズムに合わせて湧出するものだ。


 私が浸かっている30分ほどの間に、見物客も含め10人以上が続々とやってきた。ゆっくりと湯浴みを楽しむのであれば、夜がオススメかもしれない。次回は、星空を見上げながら入浴を楽しもう。

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