3Dプリンタは製品開発では短期間に試作品を製作でき、注文を受けてからの生産(オンデマンド生産)が可能なため、在庫を抱えるリスクが軽減されるなどの利点があるが、日本での普及はそれほど進んでいない。
しかし、患者の臓器を3Dプリンタで制作して手術前にシミュレーションを行ったり、義手・義足の製造、歯科のインプラントや矯正装置など、医学分野では既に幅広く利用されているし、自動車や航空機などの部品製造やアクセサリー、インテリアなどにも使われ、最近では食品製造も試みられている。
普及が進んでいない理由には、本体や材料の価格が高いことや、複雑なプリントには時間がかかることなども挙げられているが、最近は10万円を切る家庭用3Dプリンタも登場している。
これは、モバイル充電関連製品を展開する「Anker」が3月に発売した「AnkerMake M5」という3Dプリンタで、3月31日に東京・原宿にオープンした路面店には稼働状況が見られる実機が展示され、従来の家庭用3Dプリンタの5倍の速さで樹脂部品などを作るデモも行われている。
このくらいの価格であれば、学校やデザイン事務所などでも教育やプロトタイプ用に利用できると思われ、今後は普及が見込める。
無印良品・3Dプリンタ工房
昨年11月17日にオープンした、関東で3番目の売り場面積の無印良品「板橋南町22店」には、3Dプリンタが2台設置された「3Dプリンタ工房」というコーナーがあり、自社製品の引き出しや洋服のファスナーに取り付ける拡張パーツを製造・販売している。
現在は「ファイルボックスを片手で引き出しやすいテープハンドル」(200円)、「上げ下げしやすいファスナーフック」(200円)、「本を引き出しやすいしおり」(300円)、「缶ボトルを片手で開け閉めしやすいオープナー」(400円)の4種類があり、その場で制作した場合は最短15分程度で完成する。
板橋区は古くからの工房などが多くモノづくりが盛んな街でもあるため、将来的にはお客が持ち込んだデータにも対応し、店舗をモノづくりの拠点にするという構想もある。
少しずつではあるが、3Dプリンタの活用が日本でも進んでいる。
======== DATA =========
●AnkerMake M5
https://www.ankerjapan.com/pages/anker-make
●Anker表参道店
https://store.ankerjapan.com/store/omotesando
所在地:東京都渋谷区神宮前6-3-9
●無印良品 板橋南町22
https://shop.muji.com/jp/itabashi-minamicho/
所在地:東京都板橋区南町22-14